※カープ解説2020

カープ2020 
~大外れ外国人と怪我人と佐々岡~】
               (約11000字)
※過去記事

脱稿 2020年12月13日
公開 2022年10月7日

 

 

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※過去記事は、そのときの私の感想を残しておくために、あえて原文のまま(誤植があれば直しますが)掲載します。そのため、今となっては不自然な表現や記述がある可能性もございます。例えば「最近の~」や「数年前の~」といった表現が出てきた場合、それは現在ではなく、記事を書いた時点での“最近”や“数年前”を指しています。
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注意:めちゃくちゃ長いです。

 

 

 

 今年も簡単にシーズンを振り返ってみよう。シーズン前は十分上位を狙える戦力だと思っていた。対外試合13連敗はあったが、徐々に調子を取り戻していた。前年からの戦力低下がほぼなく、打線はリーグ上位で、先発の陣容はリーグでもトップクラスだった。不安視されたリリーフ陣もある程度目途が立ち、開幕を迎えたが、希望は一瞬で打ち砕かれた。そこからしばらくは好調な打線が霞むぐらいリリーフが迷走を続けることとなる。リリーフが安定してくるとそのツケが回ったのか今度は先発が崩壊した。さらに打線が当初ほどは打てなくなった。10月以降は調子を取り戻して勝利を重ねていったが、時すでに遅し。終盤10連勝で終えれば勝率5割となり借金を完済することができたが、最後の最後で惜しくも2敗した。

 怪我人が多かったのも今シーズンの特徴だった。1軍だけでなく2軍でも離脱者が続出した。1軍に出場した選手のうち、シーズン中もしくはシーズン後に手術を受けたのは大瀬良・中﨑・野村・西川・中田の5名。緒方政権ではトレーナーの権限を強くして選手のコンディションの維持にはかなり気を配っていた。当時とは選手層の厚さが違うことや、毎週6連戦が続く過密日程のシーズンだったことを考慮しても、怪我や離脱が多すぎた。

 そして監督は佐々岡だった。なんとなくポンコツ臭を感じた(余談だが私は菅総理にも同じものを感じている)。投手を中心とした守り勝つ野球を目指すのは分かるが、あの貧弱なリリーフ陣で何が守れるというのか。チームが勝つにはとにかく点を取るしかないのに、開幕後1か月ぐらいはバントの多用をやめなかった。バントを多用していいのは終盤に1点差を守れるチームだけである。首脳陣の起用にも疑問符がつく。例えば三塁コーチャーを担った廣瀬コーチ。連続出塁の日本記録を持ち、ゴールデングラブ賞も獲得するなど、打撃と守備には現役時代から定評があった。しかし走塁のイメージはほとんどなかった。還れそうな当たりでも止めることが多く、前半の打線好調期間に思ったほど点が取れなかった理由にもなった。後半はだいぶ回すようになったが遅すぎた。また、朝山コーチは、育成や不調の選手の矯正に関しては定評があるが戦術を考えるのは向いていない。相手投手の攻略のコメントでは、「相手もいい投手なので『狙い球を絞って』『追い込まれる前に』『甘く来たボールを』打っていってほしい」こればっかりである。分析好きな畝コーチが、データを解析して投手陣の強化を図る2.5軍の統括コーチとして適性を発揮したように、人には適材適所というものがある。来シーズンは河田コーチが帰ってくるので走攻守すべての強化を期待したい。

 

 

 

 


◎成績で振り返る2020

・チーム編
5位 52勝56敗12分 .481 打率.262②
得点523② 本塁打110④ 盗塁64④
失点529⑤ 防御率4.06⑤ 失策73⑤

 

月間成績
  6月   5勝  3敗1分 .281 2.85
  7月   7勝15敗3分 .281 4.93
  8月 12勝12敗2分 .243 3.83
  9月   9勝15敗2分 .257 5.18
10月 15勝  9敗3分 .258 3.42
11月   4勝  2敗1分 .268 1.80
7月と9月の投壊が足を引っ張った。

 

チーム別対戦成績
巨人   9勝12敗3分 .240 4.42
阪神   8勝13敗3分 .232 4.08
中日 13勝10敗1分 .273 3.23
DeNA 8勝14敗2分 .252 4.16
ヤクルト 14勝  7敗3分 .308 4.40
5年連続で勝ち越していた巨人戦でついに負け越し。阪神DeNAにも大きく負け越した。


打率や得点でリーグ2位だったが防御率や失点はリーグ5位と投手陣が課題。何といっても外国人が機能しなかったのが大きい。ジョンソンが不振に陥り新加入のDJとスコットは大外れで、メヒアも開幕前の好調を維持できず。結局ピレラとフランスアの外国人2人縛りをして戦う羽目になった。よりによってシーズン途中での外国人補強が難しく外国人枠が拡大された年に、前代未聞の大失態をやらかしてしまった。

 

 

 

・先発投手編
森下暢仁   18登板
1.91 10勝3敗 122²/₃回 124奪三振

九里亜蓮   20登板
2.96   8勝6敗 130²/₃回 106奪三振

遠藤淳志   19登板
3.87   5勝6敗  107回    97奪三振

床田寛樹   15登板
4.93   5勝8敗  76²/₃回  56奪三振

野村祐輔   13登板
4.58   6勝3敗  70²/₃回  35奪三振

中村祐太   8登板
2.31   3勝4敗  46²/₃回  37奪三振

大瀬良大地  11登板
4.41   5勝4敗  63¹/₃回  38奪三振

ジョンソン  10登板
6.10   0勝7敗  51²/₃回  35奪三振

薮田和樹  28登板(5先発)
4.60   1勝2敗    47回     33奪三振


 大きかったのは大瀬良・ジョンソンの左右のエースの離脱だ。大瀬良は開幕戦で投げては9回1失点、打っては3打数2安打3打点という高校野球のような成績で勝利に貢献。2度目の登板でも完投勝利を挙げ、早くも無双状態に突入したかと思われた。しかし、そこからは好投と炎上を繰り返し、9月上旬に離脱して、後に手術を受けた。悔しいシーズンとなったが、打率.263となぜか打撃で確変を起こした。ジョンソンは開幕から勝ちがつかず伸び悩んだ。登板日が何度も雨と重なるという不運も重なり、石原と組むなどしたが、結局1勝もできないままシーズンを終えた。その後退団が発表された。

 そんな中で殻を破ったのは九里だ。唯一1度も離脱せずに先発ローテーションを守った。圧巻だったのは9月28日のDeNA戦以降の投球。この試合で完封勝利を挙げてからは何かを掴んだかのように好投を続け、10月は4戦3勝で防御率0.58。マツダスタジアムでの防御率は1.74と本拠地で安定感のある投球を見せた。打席での粘り強さはセリーグで一番だと個人的には思っている。

 そして遠藤の台頭もあった。立ち上がりに2~3失点してその後は立ち直るのがいつものパターンで、そのせいで投球リズムはやや悪かったが、先発ローテを守ってある程度試合は作った。中村祐はダメ元で1軍に上げたが予想外の活躍。得点圏で許した安打はわずかに1本で、得点圏被打率は驚異の.033。床田は直球のキレが戻ったことで終盤復活し、薮田も1試合のみ2017年の片鱗を見せた。遠藤・中村祐・床田・薮田は特に立ち上がりに難があるので、この4人に関してはブルペンで本気で15球ぐらい投げてからマウンドに上がってほしい。

 あえて紹介を最後に回したのが、ルーキーの森下である。抜群の安定感でシーズン通して活躍し、新人としては2012年の野村以来となる防御率1点台。特に10月以降は4戦3勝で防御率0.24と無双した。リーグ1位の奪三振率を記録し、ヤクルトと阪神から3勝するなど全球団から白星を挙げる活躍。ピンチでのギアの上げ方やバント処理をはじめとしたフィールディングは新人とは思えないほどだ。特筆すべきは10月24日のDeNA戦。9回1失点(自責0)で完投勝利を挙げるだけでなく、8回には自らのバットで決勝打を放ち、投打の主役になった。

 驚きなのが、今シーズン先発登板したのがこの9名のみだということ。他球団と比べても圧倒的な少なさではないか。原因はいくつかあるが、最大の理由は岡田や矢崎の低迷とアドゥワや山口のフォーム探しの旅だろう。その結果、2軍ですら先発ローテが回らずにブルペンデーが多発していた。

 シーズン終盤には謎のタイミングで先発陣が覚醒した。野村が2回で降板した10月15日以降は、九里と床田と中村祐が4回中4回、森下と遠藤が3回中3回QSを達成するなど、21試合中19試合でQSを記録した。

 

 

 

・リリーフ投手編
菊池保則   44登板
4.50   5HP  42回     53奪三振

中田廉    32登板
4.28   4HP 27¹/₃回 22奪三振

島内颯太郎  38登板
4.54   5HP 37²/₃回 48奪三振

ケムナ誠   41登板
3.88 12HP  51回     55奪三振

塹江敦哉   52登板
4.17 22HP 49²/₃回 41奪三振

フランスア  53登板
2.45 19S   55回     62奪三振


 リリーフに悩まされたシーズンだった。抑えスコットで始まったが1度もセーブを記録することなく抑え剥奪。次に抑えに抜擢された菊池保は1つセーブを挙げたのち3試合連続でセーブを失敗。その後一岡が抑えとなったがこちらも1つセーブを挙げた後離脱。調子を取り戻したフランスアが7月末に抑えに定着するまでは迷走が続いた。フランスアは9月に10試合無失点と好投するなど、メンタルが強化されたのか去年よりピンチであたふたせず、しっかりと抑えることが多くなった。

 その間塹江がセットアッパーに定着し、特に8月は10登板で防御率0.75と安定。終盤は疲れからか調子を落としたが、4年前優勝が決まった翌日の試合で1死しか取れずに6失点で降板したことからみれば大きく成長した。ケムナと島内も速球を武器に奮闘したが、ケムナは悪いときは爆発炎上し、島内は先頭に四球を出すのが当たり前という欠点もみられた。調子を崩し気味だった菊池保も終盤は直球で空振りを取れる状態まで球の勢いが戻り、中田も相変わらずの火消し能力を発揮した。

 それぞれがなんとか役割を全うしたが、救援防御率4.64とホールドポイント数はリーグ最下位だった。下はチームのホールドポイント数のランキングである。

1De 118
2巨 112
3中 111
4ヤ 103
5神 100
6広   65

酷い。広島は1イニングに投手を何人も使うことは基本的にしないので、頻繁にマシンガン継投をするDeNAや巨人と比べると少ないにしても、さすがにこれは酷い。ただ、チーム救援防御率5.33(12球団ワースト)、救援敗戦26(12球団ワースト)を記録した伝説の2010年リリーフ陣よりははるかにまともである。

 

 

 

・打線編 2割7分10本の愉快な仲間たち打線

1 中 西川龍馬   
    76試合 .304(296-90)     6本 32打点
2 二 菊池涼介
  106試合 .271(376-102) 10本 41打点
3 左 長野久義
    95試合 .285(267-76)   10本 42打点
4 右 鈴木誠也
  118試合 .300(430-129) 25本 75打点
5 一 松山竜平
  108試合 .277(404-112)   9本 67打点
6 捕 會澤翼
    79試合 .266(229-61)     7本 36打点
7 三 堂林翔太
  111試合 .279(401-112) 14本 58打点
8 遊 田中広輔
  112試合 .251(378-95)     8本 39打点

坂倉将吾
  81試合 .287(209-60)     3本 26打点
ピレラ
  99試合 .266(316-84)   11本 34打点
大盛穂
  73試合 .259(135-35)     2本 16打点


 今年も打線を引っ張ったのは鈴木だ。5年連続3割25本は史上4人目の快挙である。打率3割を達成するなら3打数3安打しかないという状況であっさりクリアするなど、ここぞの集中力はさすがのものがある。しかし、ポテンシャルを考えればもっとやれるはずだ。不貞腐れることや併殺打も多く、1か月タイムリーが出ないというのもあった。チームの順位がモチベーションに直結するタイプなので難しいところだ。

 その後ろで打線を支えたのが松山だ。チャンスでの強さは健在で、得点圏打率.324を記録。休ませながら使うことで結果を出すタイプだが、他の候補がいなかったため常時スタメンで出た結果、終盤息切れした。守備に難があり、長打力にはやや衰えが見えるため、常時スタメンというのは厳しくなってくる。松山が代打で控えることができるような選手層なら強いのだが。

 次は二遊間を組む田中と菊池のコンビ。2人とも序盤は低迷していたが9月以降に調子を取り戻した。田中は8月までの.201に対して9月以降は.290。前年手術した膝が馴染んできたのか、シーズン後半は好調。FA権を取得したものの無事残留を選んでくれた。菊池も8月までの.249に対して9月以降は.295。本塁打も5年連続で10本に乗せた。

 続いては西川。やはり適性があるのか、1番で.344の高打率。ヤクルト戦では.415と打ちまくった。また、長野の活躍もあった。苦手な春に試合がなかったことが幸いしたのか、代打打率.440に得点圏打率.403と高い勝負強さを誇った。ヤクルト戦で.364の打率を残し、神宮では.452。

 そして打てる捕手の會澤と坂倉。両者とも代打で良く打ち、會澤は.353、坂倉は.346。會澤はファウルチップ顔面直撃による離脱があったものの奮闘し、特にヤクルト戦では打率.395を記録した。坂倉は4年目にして1軍定着。打撃は非凡なものを見せたが守備は改善の余地あり。打率.474と中日戦にめっぽう強く、ナゴヤドームに限ると.684という驚異的な数字を残した。

 若手で台頭したのが大盛。西川の離脱でチャンスをつかむと、本塁打も2本放ち意外な長打力を見せつけた。三振の多さは課題で、これから克服していってもらいたい。得点圏打率.367、代打で.320と奮闘し、DeNA戦では.389とよく打った。

 惜しくも退団となった新外国人のピレラ。全力プレーやチームを盛り上げる姿勢は好感が持てる。様々なポジションをこなし、10月1日の巨人戦では守備で1試合に4つのファインプレーを見せた。もう少し打席での引き出しを増やしたかったところである。

 最後に紹介するのは今年ついに覚醒した堂林。序盤はヒットを打ち出の小槌のごとく量産。後半は調子を落として打率3割には届かなかったが、過去数年間と比べれば十分といったところ。一年だけの活躍で終わらないように来年も頼む。

 全体的に言えることだが、今年は最低限の打撃ができないことが多かった。相手より得点が多ければ勝ちなのだから、どんな形であれ確実に1点をもぎ取ることが重要だ。1死三塁で内野ゴロも犠牲フライも打てないようでは駄目である。それから、今年は期待に応えることができなかった安部・野間・髙橋大・メヒアあたりの奮起も待ちたい。

 

 

 

・守備編
内野の失策が多かった。
堂林18・田中12・松山9。

 堂林はワンバウンドで投げればいいのに無理してノーバンで投げるから送球が乱れる。一塁が際どいタイミングになりそうなボテボテの打球は良い送球が行くイメージなので、もしかすると考える暇があるとダメなのかもしれない。

 松山は捕球や送球ではなく状況判断が下手。二塁に投げるのか本塁に投げるのかベースを踏んでタッチしに行くのかといったとっさの判断が苦手である。ここ2年は春季キャンプの時期に故障離脱していて、守備練習に割く時間が少なかったというのもあるので、来年のキャンプでは鬼のように守備練習に励んでほしい。

 そして菊池の失策0にも触れなければならないだろう。セカンドでノーエラーは史上初の記録。全盛期と比べると範囲は多少狭くなったが、確実性、捕ってからの速さ、送球の強さ、どれをとっても未だに球界トップクラスである。

 ではここで、今シーズンのベストオブ守備ランキングを発表する。
4位 8/1    三好菊池松山の東京ドームでの併殺
3位 9/28  ソトを併殺打に打ち取った菊池
2位 9/13  甲子園でボーアの打球を捕った菊池
1位 6/19  開幕戦の三好

 

 

 

・走塁編
盗塁  堂林17 田中8 鈴木・西川6
    大盛5 菊池3

堂林がチームトップの盗塁数を記録。田中の盗塁数が大きく減ったが、これは8番を打つことが多かったからだろう。チーム全体に言えることだが、走塁意識が低くなったような気がする。1つ先の塁を狙うのは普通。2つ先の塁を狙うような走塁を。

 

 

 

 


◎明るい話題

①HQS(先発投手が7回以上を投げて自責点2以下)を記録した回数は34回で12球団で一番多い。さらに言えば、HQSを記録した投手にその試合で負けがついていないのは広島のみである。

②代打打率.275は2位DeNAの.230を大きく引き離してリーグ1位。長野・會澤・坂倉・大盛が高打率を残した。

③得点圏打数1057は2位DeNAの972を抑えてリーグで最も多く、得点圏打率.265は2位。さらに出塁率.331はリーグトップ(2位は巨人の.328)。チャンス自体は作った。(それを返せるかどうかは知らんがな)

 

 

 

 


◎神試合ベストナイン

    6/19   DeNA1-5広島
    広島 000 020 003 5
    DeNA  010 000 000 1
大瀬良が大活躍。投げては8回まで1イニング10球ペースで抑え、9回1失点完投。打っては5回の同点打、9回のプロ初ホームランなど2安打3打点。

 

    7/8  広島6-3DeNA
    DeNA  100 000 200 3
    広島 001 001 04X 6
1点を追う8回、安打と四死球で満塁とし、堂林がバックスクリーンへ逆転満塁ホームラン。チーム15残塁の拙攻を吹き飛ばす一打。

 

    7/26   DeNA6-10広島
    広島 000 000 055   10
    DeNA  050 010 000 6
8回に堂林會澤の連続ホームランなどで1点差に詰め寄ると、9回鈴木が同点タイムリーを放ち、會澤がこの日2本目となる勝ち越し満塁ホームラン。

 

    8/7  広島11-6阪神
    阪神 001 030 200 6
    広島 240 023 00X   11
プロ初スタメンの羽月が好守に躍動。2回にセーフティスクイズを決めると5回には右中間へ2点三塁打を放った。二塁の守備でもライナーに飛びついて好捕するなど再三の好守を見せた。

 

    10/10 広島3-0ヤクルト
    ヤクルト 000 000 000 0
    広島 100 020 00X 3
先発森下が6回無失点の好投、宇草が5回に2点打とドラフト1位&2位コンビの活躍。

 

    10/13 巨人3-4広島
    広島 010 300 000 4
    巨人 000 001 002 3
九里が8回1失点の好投で開幕から13連勝中だった菅野に投げ勝った。

 

    10/24 DeNA1-2広島
    広島 000 010 010 2
    DeNA  001 000 000 1
同点の8回、二死走者なしから菊池がヒットで出塁し、ギャンブルスタートで盗塁を決める。続く森下がライト前へタイムリーを放ち自らのバットで決勝点をたたき出す。森下は9回1失点(自責0)で完投。終わり方もオースティンの二塁タッチアウトというなんともいえない幕切れ。

 

    10/30 中日3-17広島
    広島 110 000 447   17
    中日 000 210 000 3
1点を追う7回、代打鈴木と大盛のタイムリーなどで逆転に成功し、8回にも堂林と鈴木の2ランで4点を加える。9回には大盛のタイムリー、田中の3ランなどでトドメ。セ・リーグの残り2試合が巨人3-3ヤクルト、DeNA3-3阪神だったため、試合結果画面で異彩を放つ広島の17点。

 

    11/4   広島5x-4巨人
    巨人 000 002 200 0   4
    広島 011 000 020 1x 5
8回に會澤の適時打で同点に追いつく。迎えた延長10回、西川がサヨナラ打を放つがリクエストで覆りアウトに。しかしその後松山が正真正銘のサヨナラ打。実質1試合2サヨナラ。

 

 

番外編 勝っていたら確実にランクインしていたであろう試合

    9/4 広島12-12DeNA
    DeNA  005 030 130 0 12
    広島 000 500 322 0 12
先制を許すも一挙5点を挙げて追いつく。終盤もじわじわと詰め寄り、引き分けた。菊池が9回の同点打など5安打3打点。

 

    11/2 広島2-2巨人
    巨人 000 101 000 0 2
    広島 000 000 002 0 2
9回二死、菊池が好投を続ける戸郷から同点2ランを放ち、力投した九里の負けを消した。

 

 

 

 


◎引き分け試合から佐々岡采配を考える

 10月15日の巨人戦をもとに考えたい。この試合は先発野村が2回で降板し、後を受けた高橋樹が4失点するも、5回に田中の適時打と松山の2ランで同点に追いついてそのまま引き分けた試合だ。貧弱なリリーフ陣がなんとか繋いで勝ち越しを許さなかったのは褒められるべきポイントだが、打線の采配については大いに疑問である。

 まずは同点の6回表、一死二・三塁のチャンスで代打小園という場面。ここで相手は左の大江にスイッチ。小園に左の変則なんか打てるわけがないので、ここは代打の代打を出してもいいはずだが、小園がそのまま打席に立った。当然何か策があるのだろうと思ったが、それはスクイズだった。しかしどうやら小園はサインを見落としていたようで、スクイズを決められず空振り三振に倒れた。二死二・三塁となり打席には代打長野。逆ではないか。相手は左腕なんだし、先に長野を出すべきではないか。長野も倒れ、結局無得点に終わった。

 次のチャンスは8回表。會澤が四球を選び代走に曽根を送る。続く堂林が送りバントを決めた後、菊池がヒットで繋ぎ、一死一・三塁の場面で代打坂倉。マウンドには左のサイドの高梨。ここで再びスクイズを仕掛ける。しかし高梨の初球は大きく外れたため坂倉はバットに当てることすらできず、スクイズ失敗となり無得点。スクイズが悪いわけではないが、「スクイズの経験がほとんどない坂倉に」「左対左(しかも変則)で」実行させたのが理解できない。はっきり言って決められるわけがないし、確実にスクイズを決めるなら磯村でもよかったはずだ。私が思うにここでの最適解は菊池と曽根のダブルスチールだ。去年は一・三塁でダブルスチールを2回決めているのに。

 負けるのはしょうがない。しかし勝てる戦力で打てる手を尽くさずに負けるのだけは本当に許せないのだ。ベンチ入りしている野手は使い切るぐらいの気持ちでいてほしい。代打を出さずに長野や會澤あたりがベンチに残ったままで、代走で野間や曽根を使わずに負けるシーンも多かった。佐々岡は勝負観や試合の流れを読む力が0に近い。ただドラフトは上手いのでGMには向いているかと思う。

 

 

 

 


◎来季展望
先発    大瀬良九里森下栗林床田
      遠藤中村祐薮田ネブカス(野村)
リリーフ  菊池保島内バードケムナ塹江
      フランスア

打順
1左西川
2二菊池
3一クロン
4右鈴木
5三堂林
6捕會澤
7遊田中
8中大盛
代打 松山長野坂倉

新外国人のクロンだが、あまり過度に期待しすぎない方がいいというのが第一印象。リリーフが改善されないことには優勝は厳しいので3位ぐらいと予想しておく。また、そろそろ小園・羽月・林・正隨・中村奨あたりを使っていく時期でもあり、若手の成長に期待したい。考えられる最悪のパターンは、クロン外れ・堂林リセット・田中&菊池不振・松山&長野衰え・西川&會澤故障離脱の場合。もうこうなったらそれこそ若手使うしかないか。

 

 

 

 


◎野球コラム DHの有無について

 現在パリーグのみが導入しているDH。打撃型の選手が投手の代わりに打席に立つ制度である。交流戦日本シリーズでの対戦成績の悪さから、セリーグにもDHを導入すべきという考えが上がっている。私はそれには大反対だが、DH反対派のほうが今となっては少数派だろう。

 DHのメリットとしては、①期待できない投手の打撃を見ずに済むこと、②投手に代打を送ることがないので先発投手が育ちやすいこと、③疲労が溜まっている選手や守備に難がある選手を使えたり、若手を守備に就かせてベテランをDHに回せたりで、打撃の選手枠が増えること、④投手が死球を受けるリスクを防ぐことができるので故障の予防になること、などが挙げられる。

 一方DHの最大のデメリットは、投手に代打を出すかどうかの駆け引きが無くなることである。セパの区別がなくなることもデメリットになる。

 メリットが多数あるのはもちろん理解しているが、それを考慮しても個人的にはDHは導入してほしくない。そもそも野球は9人でやるものであり、投手も打席に立つというのが野球の本来の姿である。やる気がないとされる投手の打席だって毎回毎回そうではなく、せいぜい完投目前の8、9回ぐらいだ。ほとんどの投手は打撃でもチームに貢献しようとしている。投手の打撃はやる気がないと主張される方は、残念なことに贔屓チームの投手の打撃が相当無気力なのだろう。何より投手が打ったら盛り上がる。投手の一打をきっかけに大量得点できることもある。またDH導入で投手の打席がなくなると、どこで代打を出すかなどを考える機会が減り、監督の腕の見せ所が少なくなってしまう。代打の切り札的存在の選手が出てきたときの球場の盛り上がりは最高潮に達するが、そういうのも減ってしまう。さらに途中出場した選手がそのまま入るときに打順が組み替えやすくなる。代打した選手がそのまま9番に入ることもあり、8月25日には9番松山、10月30日には9番鈴木という打順が登場している。これはこれで面白いと思うのだが。

 セリーグ側も、負ければすぐにDHDHってセリーグとしてのプライドはないのか。セパの実力差は多少はあるが、そこまで大きいものではない。セリーグパリーグにあるのはタイプの違いだ。一概には言えないが、パリーグは直球文化でセリーグは変化球文化、長所を長所で迎え撃つのがパリーグ・短所を長所で突くのがセリーグという違いである。

 そもそも、セパの差がDHの差だけだと思っているのなら大間違いだ。DH導入は40年以上前だが、パリーグ日本シリーズで勝ち始めた(ほぼソフトバンクだが)のはここ10年ぐらいで、交流戦も最初からパリーグが優勢だったとはいえ今よりは拮抗していた。まずはドラフトや育成の結果を見直すことが先だろう。こういう人たちほどDHを導入してそれでも勝てなかった場合また違うことを言い出す。「パリーグの本拠地はドーム球場が多い。セリーグドーム球場にしろ」とかでも言うのだろうか。そこまでセパで条件を合わせたいのであれば、DHありに統一するのではなくDHなしに統一すべきだ。

 

 

 

 


◎最後に
LINE上の最大字数が10000字のため、最初に公開したときは字数を削るという作業が初めて発生してしまったが、今回は泣く泣く削った部分も(全てではないが)付け加えて公開している。
あと1週間したら次の記事を書き始めないといけないので、それまで冬眠します……zzz。

 

 

 

 


~今だから言えること~
クロン外れ予想は当たってたけどまさか栗林がクローザーとしてあれだけ活躍するとは。
セパの差がどうとか言ってたら交流戦セ・リーグが勝ち越しましたね。あの議論は何だったんでしょうね。ただ広島は大幅に負け越してますけどね…。

 

 

 

 

 

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