※カープ解説2021

カープ解説2021 ~ビリビリビリ回避~】
               (約22000字)
※過去記事

脱稿 2021年12月12日
公開 2022年10月15日

 

 

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※過去記事は、そのときの私の感想を残しておくために、あえて原文のまま(誤植があれば直しますが)掲載します。そのため、今となっては不自然な表現や記述がある可能性もございます。例えば「最近の~」や「数年前の~」といった表現が出てきた場合、それは現在ではなく、記事を書いた時点での“最近”や“数年前”を指しています。
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非常に長いです。2万字あります。去年の倍。短編小説レベル。

 

目次
・シーズン振り返り
・成績で振り返る2021
 (チーム編・投手編・打線編・守備編・走塁編)
・今年の佐々岡采配
・観戦記
・神試合ベストナイン
・コラム
 (審判・サヨナラ勝ち未遂・ハマスタの悲劇)
・来季展望
・お悔やみ

 

 

 

 


◎シーズン振り返り

今年も長いペナントレースが終了した。途中に五輪を挟んだことで非常に長いシーズンとなった。ペナントレース開始前の予想は次のようなものが多かったと思う。

  「阪神巨人の優勝争い、広島中日の3位争い、
 DeNAヤクルトの最下位争い」

順位表はおおむねこの通りだった。一つの大きな誤算を除いては。そう、ヤクルトが優勝したのである。6位候補から1位に躍り出た。

 ではカープはというと…。
 開幕直後には一瞬だけ首位に立った。本当に一瞬だけ。3日間ぐらい。序盤はとにかく打線が繋がらなかった。投手陣はなんとか踏ん張っていたが、ヒットは死ぬほど出るのにタイムリーが出ない。進まない走者。増えていく残塁。まるで一塁を踏むゲームでもやっているかのよう。凡打凡打ヒットヒット凡打。ヒットバント凡打ヒット凡打。ヒット凡打ヒット併殺。いまいち波に乗り切れない状態が続いた中で、5月半ばにコロナが直撃。あれよあれよという間に陽性者も濃厚接触者も増えていき、チームの中心選手のほとんどが一時離脱した。それをまとめたのが以下である。


発覚した5月17日~6月中旬まで
PCR陽性で離脱
→菊池小園正隨  石原羽月鈴木長野大盛  九里
PCR陰性だが濃厚接触者認定で離脱
→森下高橋昂
PCR陰性だが自主隔離で一時離脱
→西川松山坂倉磯村塹江
※これに加えて首脳陣も数名感染


 この頃はチームもファンもキツかった。個人的には真剣勝負ができないというのが一番辛かったかな。しかも感染してもほぼ全員が無症状で、「果たしてそれはウイルスと呼べるのか?」「無症状なのに療養とは?」といった疑問も湧いてくる。一体何と戦っているのか分からない時期だった。

 コロナ大量離脱を経験して思うのは、意外と野手はなんとかなるということである。実際野手はそこまで苦しんだ印象はない。2軍に期待の若手が多かったことも幸いしたと思う。抜けた場合本当にしんどいのは投手。それも先発。しかも広島の場合は良い方から3枚抜けたのである。1軍で通用しそうな先発を急に3枚補充しなければならなくなった。2軍から矢崎・玉村・ネバラスカスなどが駆り出されることになったが、矢崎は4回まで抑えても5回に別人のように制球を乱し、玉村はやはりスタミナ不足で(それでもシーズン後半には大きく成長)、ネバラスカスに至っては相手を粘らすカスだった。野手は最悪打たなくても試合は成立する。しかし、投手は抑えないと永遠に試合が終わらないのが苦しい。コロナの影響で交流戦は最下位に。この期間はいつ見ても7失点していたような気がする。

 交流戦終了後はだんだんとチームにメンバーが戻り、徐々に状態も上がっていった結果、4連勝で前半戦を終える。しかし五輪休みを挟んで迎えた後半戦では、再び打線が繋がらなくなる。シーズン序盤にも打線が繋がらない時期はあったが、34イニング連続無得点とかもあったので深刻度でいえば恐らくこちらの方が上。投手はある程度踏ん張っていた序盤と違い、このときは投手も野手もうまくいかなかった。2点取ったら3点取られ、7点取ったら8点取られるで噛み合わなさが尋常じゃない。その日チャンスで必ず打てないのが2人ほどいて、それが日替わりになるイメージである。だが、それは一時的に解消される。菅野クリニック期に突入する。

 菅野クリニック期とは、8月26日に菅野と当たってから9月9日までの約2週間13試合を指す。その試合で菅野や中継ぎを打って大量点を挙げて以降、打線が繋がるようになり、特に鈴木・坂倉・菊池が打ちまくった。この期間鈴木は打率.468の12HR18打点、坂倉は打率.449の5HR18打点、菊池は打率.378の5HR15打点。まるで連動しているかのようで、13試合中、このうち2名が揃って本塁打を放ったのが6試合あり、3名ともが2試合ある。

 しかしこの好調も9月10日に西、11日に秋山と当たり、12日に再び菅野と当たって打線が冷凍されて終了した。その後は再び不調期に入り、9月22日には借金が最大で17にまで膨れ上がる。ところが、ここから快進撃が始まる。DeNA阪神・巨人を3タテするなど2度の6連勝を飾る巻き返しを見せ、借金は5にまで返済。巨人の急失速もあり、3位まであと少しというところまで迫った。

 これが今シーズンの広島カープの一部始終である。余談だが、この記事のサブタイトルは丁度借金17のどん底のときに考えたものである。このままなら断トツの最下位になると思い、今年のスローガンだった「バリバリバリ」をもじって「ビリビリビリ」にする予定だったが、そこから予想外の巻き返しがあったので「ビリビリビリ回避」とした。

 

 

 

 


◎成績で振り返る2021

・チーム編
4位 63勝68敗12分 .481 打率.264①
得点557③ 本塁打123④ 盗塁68③
失点589⑤ 防御率3.81⑤ 失策80⑤
QS率1位 得点圏打率・代打打率2位
与えた四球はリーグワースト

 

セリーグ順位表
1ヤクルト  73勝52敗18分 .584  ―
2阪神  77勝56敗10分 .579 0.0
3巨人  61勝62敗20分 .496  11.0
4広島  63勝68敗12分 .481 2.0
5中日  55勝71敗17分 .437 5.5
6DeNA   54勝73敗16分 .425 1.5

セリーグ順位表(交流戦抜き)
1ヤクルト  63勝44敗18分 .589  ―
2阪神  66勝49敗10分 .574 1.0
3広島  60勝56敗  9分 .517 6.5
4巨人  54勝54敗17分 .500 2.0
5中日  46勝64敗15分 .418 9.0
6DeNA   45勝67敗13分 .402 2.0

4位に終わったが、勝利数だけで言えば3位の巨人より勝っており、セリーグ内では4つの勝ち越し。交流戦を除けばリーグ3位相当の成績。

 

月間成績       打率 防御率
3・4月    13勝15敗2分 .260 3.41
5月     4勝  7敗4分 .259 4.02
6月     6勝16敗3分 .261 4.67
7月     7勝  4敗1分 .265 3.22
8月     7勝  8敗    .242 4.08
9月   13勝11敗1分 .272 3.79
10・11月   13勝  7敗1分 .280 3.45

コロナと交流戦が重なったことで6月に大きく負け越し。後半戦は先発が揃ったこと、勝ちパターンが整備されたこと、打線が繋がるようになったことで貯金7。

 

チーム別対戦成績    打率 防御率
ヤクルト  8勝14敗3分 .275 3.76 ←ほぼ
阪神   12勝12敗1分 .232 3.30   これと
巨人   12勝12敗1分 .244 3.99
中日   14勝  9敗2分 .278 3.24
DeNA 14勝  9敗2分 .299 3.93   これの
交流戦 3勝12敗3分 .245 5.00 ←せい

ヤクルトは見事だった。広島の弱点は先発と栗林の間の7・8回であることは言うまでもないが、そこを的確に突いてきた。それが凝縮されていたのが10月頭の3連戦。広島は3連敗を喫するが、いずれも先発が降板した後の中継ぎを打ち込まれている。当時広島は巻き返しモードに片足を突っ込んでいる状態だったが、それでもコテンパンにやられた。相手の弱点を研究し、それを作戦に落とし込んでしっかりと実行できるヤクルトのチーム力の高さを感じた3試合だった。私はこのときヤクルトの優勝を確信した。

 

 

 

・先発投手編
大瀬良大地  23登板20QS
3.07 10勝5敗 146²/₃回 102奪三振

九里亜蓮   25登板17QS
3.81 13勝9敗   149回    102奪三振 

森下暢仁   24登板19QS
2.98   8勝7敗 163¹/₃回 132奪三振

床田寛樹 16登板 9QS(中継ぎの1登板を含む)
3.19   5勝4敗   87¹/₃回   80奪三振

玉村昇悟   17登板11QS
3.83   4勝7敗   101回   67奪三振

高橋昂也   15登板 5QS
5.28   5勝7敗   73¹/₃回   54奪三振


 今年は一年通して投げ抜いた先発投手はいなかった。大瀬良は4月中旬に腰だか腹だかの痛みで1か月離脱し、九里・森下はコロナによる隔離期間があった。それでも、終わってみればこの3名は規定投球回に到達した。

 大瀬良は前述の離脱から復帰後はしばらく調子が戻らなかったが、7月12日の中日戦で3か月ぶりの白星を挙げるとその後は調子を上げ、後半戦は7勝とエースの働き。非常に安定感があり、QS率87%はリーグ1位だった。最終的に10勝を挙げエースの役割を果たしたといえるが、非常に勿体ない。というのも、今年の大瀬良は今世紀最高レベルの出来だった。序盤からほぼ完璧な投球を続けていただけに、怪我による離脱が無ければどうなっていたのかと考えずにはいられないのである。そんな大瀬良は、今年FA権を取得したが程なくして残留を発表。入団時にスカウトとの縁があること、妻が広島のローカルタレントであること、2年前野村がFA権を取得した時も残るように頼んでいたこと、などから移籍の可能性は少ないと思われていたが、実際に残留が決まり一安心。来年以降も投手陣のリーダー的存在として、そして選手会長としてチームを引っ張っていってほしい。

 九里は年々成績を伸ばし今年ついに最多勝を獲得。四球から崩れて先発と中継ぎを行ったり来たりしていた九里がタイトル獲得とは感慨深いものがある。終盤は最多勝を目指して中5日や中4日で登板したが、これも九里の頑丈な身体あってのもの。今年春のキャンプでは300球以上を投げ込んで周囲をドン引きさせていた。九里も大瀬良と同様に今年FA権を取得し、残留。入団時に生涯カープ宣言のようなものをしていたのだが、ちょっと前に生涯カープ宣言をしておきながらFA移籍した某ツラいさんという方もいたため、「生涯カープ宣言」という言葉が広島ファンの間ではトラウマに近いものになっている(まあ新井さん(言っちゃった)の場合は大好きなカープよりも大好きなとあるアニキがいたからなのだが)。故障しない投手の価値が上がっているため九里の動向には注目が集まったが、結局残留。文字通り生涯カープを選んでくれたことになる。九里は圧倒的なストレートや切れ味鋭い決め球があるわけではなく、三振を奪う投手でもない。様々な変化球とコントロールを武器に打たせて取るタイプなので、地味な印象もあるが、実はここ5年で九里より勝ち星を挙げているのは菅野と千賀と大瀬良の3人のみである。継続して結果を残している九里の貢献度の高さを示している非常に良いデータではないだろうか。

 森下は前年から多少成績を落としたが、十分な成績。投球回はリーグ2位で防御率はリーグ4位。QS率79%は大瀬良に次いでリーグ2位だった。コロナ離脱前までは防御率1.84と好成績。プレッシャーがかかる五輪の決勝でも、アメリカ打線を5回3安打無失点に抑える圧巻の投球を披露した。今年は被本塁打が増えたのが気になる。特に甘く入ったカーブを捉えられるシーンがよく見られた。ピンチでかなりギアを上げるタイプなので、走者なしでの一発を狙われているのだと思われる。いわゆる“2年目のジンクス”と呼ばれるものだと思うが、それでもシーズンフル回転し防御率2点台なのだから並大抵の投手ではない。個人的にはもう少し援護してあげてほしい。頼むよ野手陣。

 床田は開幕から不安定な投球が続いた。失点は多くないものの常にピンチを背負っていた。その最たるものが5回10安打無失点という魔術のようなピッチングである。2軍から復帰後は2019年のストレートの威力が戻り、圧巻の投球。9月には自身初完封を飾り月間MVPも獲得した。床田が今シーズン後半の調子を一年間維持できれば、先発四本柱の10勝カルテットも夢ではない。

 若手では玉村が台頭。同世代の奥川・佐々木・宮城の影に隠れがちだが、高卒2年目ということを考えると順調である。序盤は球威不足から外国人にホームランを打たれることが多かった。スタミナにも課題があったが、後半になるにつれて投球回も増えていった。ソフトバンク戦での好投をきっかけに徐々に成長していった感がある。打撃でも結果を残し、打率.207を記録。得点圏では5打数3安打3打点だった。

 高橋昂はTJ手術を受け復活。3年ぶりの白星を挙げた。コロナ離脱前は防御率2.01の被打率.190と非常に安定していたのだが、その後は立て直せないままシーズンが終わった。ルーキーの大道は前半戦は先発に中継ぎにフル回転。山本と投げ合った日(私が観に行った日でもある)はほぼ完璧なピッチング。エキシビションマッチのときにフォームを崩し、その後も調子を落として2軍行きとなった。

 一方、期待外れに終わったのが野村、遠藤、中村祐。野村は無理に開幕に間に合わせたのが響いたのか、プロに入って初めて0勝に終わった(というか5勝未満のシーズンが初)。遠藤と中村祐は好調だった昨年の終盤とは別人のような投球で、全く結果を残せなかった。特に遠藤は扁桃炎での入院が響いた形になった。

 

〈中継ぎガチャ成功率〉
おまけとしてこの資料を置いておく。これは先発が降板した後、登板した中継ぎがリードを保った回数である。

九里   100%(12/12)  高橋昂 83%(5/6)
大瀬良 82%(9/11)     床田  80%(4/5)
森下  73%(8/11)     玉村  57%(4/7)

13勝を挙げた九里は、完投勝利の1試合を除いた12試合中12試合で中継ぎがリードを保ったまま試合を終え、勝ちが付いている。つまり一度も勝ちを消されなかったということであり、非常に勝ち運に恵まれていたシーズンだった。特に可哀想なのが森下と玉村。玉村に関しては4割強も中継ぎに勝ちを消されている。これもプロの洗礼か。

 

 

 

・リリーフ投手編
菊池保則   33登板
1.71 2勝1敗  5HP 31²/₃回 25奪三振

高橋樹也   27登板
1.37 0勝0敗  0HP 26¹/₃回 16奪三振

ケムナ誠   40登板
4.58 2勝2敗14HP 39¹/₃回 28奪三振

塹江敦哉   51登板
4.25 5勝4敗22HP 42¹/₃回 29奪三振

コルニエル  50登板
3.82 1勝2敗11HP 61¹/₃回 79奪三振

バード    33登板
4.57 0勝0敗11HP 21²/₃回 21奪三振

森浦大輔   54登板
3.17 3勝3敗20HP 48¹/₃回 41奪三振

島内颯太郎  51登板
3.12 0勝2敗15HP   49回    51奪三振

栗林良吏   53登板
0.86 0勝1敗37S    52¹/₃回 81奪三振


 今年もリリーフには苦しんだ。8回の失点が12球団最多の100点という事実がそれを物語る。調子が良い投手がランダムで変わるため、“出してみないと分からない”状態。勝ち切るにはそんなおみくじを当てる必要があった。これが本当の「宮島さんの神主がおみくじ引いて申すには」である。そんな状況でのオアシスが栗林。防御率は0点台で、奪三振率は数々のクローザーのキャリアハイを超える13.93。本拠地全27試合無失点、23試合連続無失点&20試合連続セーブと数々の記録を打ち立てた。五輪では全試合に登板し2勝3セーブを挙げるMVP級の活躍。特にタイブレークを無失点に抑えたのは見事だった。最も素晴らしいのはセーブ機会での失敗0である。これはリードして9回を迎えれば必ず勝てるということであり、相手の攻撃が実質8イニングになるということ。度胸やギアの入れ方を含め、新人離れした投手である。絶対的な決め球というものはないが、ストレート、カーブ、カットボール、フォークのどれもがレベルが高いのが特徴。特にフォークに関しては抜けると痛打されやすい球だが、栗林の場合は、抜けたフォークがチェンジアップのような軌道になるため、上手くタイミングを外すことができる。今後先発転向するのかそれとも抑えのままか、というのは非常に難しい問題で、中継ぎは一部の鉄腕を除けば5年もやれば壊れてしまうことが多く、選手寿命が短くなる。そのため長く活躍してもらうために先発転向を求める声があるのも大いに理解できる。しかし、三連覇以降、広島は中継ぎのやりくりに非常に苦労しているのもまた事実で、9回の枠を確実に埋めてくれる投手という存在も捨てがたい。実際、今シーズンの9回は非常に安心した穏やかな心で観ることができた。個人的には来年以降もクローザーとして投げてほしい。もちろん登板間隔や連投には気を配る必要がある。疲労が溜まるとどうしても四球が多くなるのは仕方ないが、それさえ克服できればかなりのピッチャーになれる。

 もう一人奮闘したルーキーが森浦。開幕1軍メンバーに入り、そのまま完走。前半戦の終盤は打ち込まれるシーンが多かったものの、五輪中断期間の休息が功を奏し、後半戦は防御率2.10、被打率.202と非常に安定。ピンチを招いて顔面蒼白でなんとか抑えていた序盤とは雲泥の差である。中断期間を挟んだことでストレートの威力が増し、高めを振らせることができるようになった。球速も140km/h台後半をコンスタントに計測した。中日・DeNA阪神相手には防御率1点台で、本拠地では防御率1.59だった。課題はやはり対左への投球で、左打者の被打率は3割を超えており、これは右打者の倍の数字。しかし、勝ちパターンの一角に食い込んだシーズン終盤には、苦手な左打者相手にも積極的に起用されたが、危なげなく抑えていた。これは本人としても大きな自信となったのではないか。今年の広島の新人は栗林にフォーカスされることが多いが、森浦の活躍も忘れてはならない。

 終盤に8回を担ったのが島内。特に9月以降は好投を続けた。7月9日の神宮での試合で初めてリード時の8回を投げ、中軸を三者凡退に抑えた。この試合がターニングポイントになったと思う。昨年までは先頭に四球を出すことが当たり前で、当然のように無死一塁から始まっていたが、今年は四球が大きく減少。ボールが先行しても立て直せるように。森浦と島内の2人が安定していたことが終盤の快進撃の一因でもあるだろう。

 続いては火消し要因として活躍した2人の左腕。バードは左のワンポイントとして数々のピンチを抑えた。防御率は4.57だが巨人戦の6失点炎上を除けば2.11まで下がるので、十分1軍戦力として活躍したといえる。リード時の防御率は1.04で、被打率は1割を切るらしい(ちらっとどこかで見ただけのデータなので確証はない)。ただ、助っ人ならできれば1イニングを投げてほしいというのが正直なところ。フロントも考えることは同じなようで、残念ながら退団となった。もう一人は塹江。前半は主に8回を担当し奮闘していたが、疲労が溜まるにつれて打たれる試合が増えていった。それでも22HPはチーム最多。シーズン後半は主にピンチでの火消しを任され、1球で遊ゴロ、2球で外野フライなど火消しの適性を見せた。

 今年防御率が良かったのが菊池保と高橋樹。菊池保はビハインド時では全盛期中﨑のような投球を見せる。主にその役割を任された9月は11試合に投げて無失点。防御率が一時0点台になったこともあった。中日戦でのサヨナラ押し出しのようにメンタルに課題あり。高橋樹はDe戦の6失点詐欺(6失点したがエラー絡みのため自責は0)があったものの全体的には安定していた。「左で投げてるだけ」状態からついに脱却なるか。

 残りを紹介。ケムナは一時的に8回を担ったものの不本意な結果に。9月は12試合で1.64と好投した。コルニエルは今年の開幕直前に支配下登録された。直球は最速165km/hを誇り、高い奪三振率11.59が魅力。主にロングリリーフ枠だったが塹江が調子を落とした後に8回を任された時期もあった。もともと今年戦力になる想定ではなかった粗削りの投手のためしょうがないといえばしょうがないのだが、変化球が決まらないときは何もできないのが欠点。ストレートを投げたがるようで初球のストレートを痛打される場面も。とにかく変化球の精度を上げること。それによって直球も活きてくる。

 

 えー、全体的に四球が多かったです。先頭に四球を出すのはいい加減やめてほしい。先頭ヒットより先頭四球の方が相手を勢いづかせてしまう気がする。追い込んで粘られて厳しいところを狙った結果外れてフォアボールなのはまだいいのよ。初球の変化球ボール、2球目外角のストレート外れてボール、3球目高めに外れてボール、4球目ど真ん中ストライク、5球目ストレート叩きつけてボール、フォアボール。これではブルペンで何をしてきたのかというレベルなのよ。1球目からコーナーに投げようとするのではなく、まずは内と外の2分割から始めて、そこから高め・低めを意識していくというのはどうだろう。初球から完璧に決めようとせず、ストライクゾーンを内と外とに分けて投げ、それで慣れてきたら内と外・高めと低めで4分割して投げる。さらに調子が出てきたら通常通り9分割で投げる、ということである(そもそも9分割で狙ったところに投げられる投手なんてほとんどいない気がする)。どうせバットに当たったとしても7割の確率でアウトになる(四球だと10割出塁されてしまう)のだから、もっと自信をもって投げてほしい。

 ただ、今年中継ぎが3連投したのは4回(中田・コルニエル・ケムナ・島内)で、これはオリックスに次いで少ない。そういった連投を抑える投手運用は褒めるべきところだろう。

 

 

 

・打線編
1 中 野間峻祥    74試合
 .272(250-68)     2本 12打点 OPS.663

2 遊 小園海斗  113試合
 .298(449-134)   5本 35打点 OPS.718

3 左 西川龍馬  137試合
 .286(504-144) 12本 60打点 OPS.733

4 右 鈴木誠也  132試合
 .317(435-138) 38本 88打点 OPS1.072

5 一 坂倉将吾  132試合
 .315(422-133) 12本 68打点 OPS.857

6 二 菊池涼介  132試合
 .277(494-137) 16本 60打点 OPS.762

7 三 林晃汰   102試合
 .266(357-95)      10本 40打点 OPS.693

8 捕 會澤翼     70試合
 .256(180-46)     3本 22打点 OPS.686

石原貴規 60試合  .239(113-27)  4本  12打点
田中広輔 81試合  .206(136-28)  2本 8打点
安部友裕 85試合  .252(151-38)  1本  12打点
クロン  42試合  .231(130-30)  6本  16打点
長野久義 71試合  .216(125-27)  2本  13打点
宇草孔基 43試合  .291(148-43)  4本  14打点
松山竜平 85試合  .263(175-46)  2本  29打点


 今年の前半は菊池、後半は鈴木が打線を引っ張った。菊池は序盤絶好調。どちらかというと最初の3~4試合はヒットが出ないイメージだったが、今年は開幕戦の3安打を皮切りに16試合目まで4割をキープ。1番打者として安打を量産し、離脱までは.342と驚異的な数字。コロナ離脱が無ければ首位打者最多安打も狙えたのではないかと思うほど。今年は特にDeNAに強く、打率.330を記録。後半戦は6番や7番に座ってポイントゲッターの役割を確立し、本塁打のキャリアハイも更新した。得点圏.314はリーグ3位。

 鈴木は打撃フォームがしっくり来た後半戦に爆発。9月に自己最多となる月間13本のホームランを放つなど後半戦だけで23本塁打の爆上げ。対巨人.350、対ヤクルト.368、対DeNA.329、対中日.337と高打率。対阪神は.265だが8本塁打はカード別2位タイと全球団からまんべんなく打った。特にこれまでは苦戦していた菅野に対して、今年は14打数7安打5HRという虐殺っぷり。

 続いては今年1軍に定着した高卒3年目コンビの小園と林。小園は田中の不振もあり4月下旬からスタメンに定着。惜しくも打率3割は逃したものの、最後は3試合連続3安打で締めた。林はコロナ期間に2軍から緊急招集され、そのまま1軍でシーズンを完走した。9月9日には球団2位タイとなる8打数連続安打を達成。この二人は連動しているのかと思うくらい共通点が多い。小園は中日戦で.378、DeNA戦で.379の高打率。林も他が1割5分~2割なのに対して中日相手に.350、DeNAには.355とよく打った。そして二人とも本拠地では3割を超える打率を残した。

 今年リーグ屈指の打者に成長した坂倉は、主に後半戦から5番に定着しリーグ2位の打率。捕手と一塁手を兼任しながらほとんどの試合にスタメン出場。左投手も苦にせず、ナゴヤドーム以外は打率3割3分以上で対ヤクルトでは4割超えの数字。得点圏.308もリーグ5位だった。10月10日の巨人戦では、走塁中に手袋を外し捕手のタッチをかわしてホームインという好走塁を見せた。

 野間は五輪中断期間のエキシビションマッチで調子を上げ、しばらくは1番に定着。しかし怪我により離脱した。もったいないというかツイてないというか…。

 西川は開幕してすぐ大山と一塁ベース付近で交錯した影響もあってか前半は不振。何より長打が激減した。しかし後半戦は.330と復調。今年はDeNAに強く.351。横浜スタジアムでは.465の数字を残し、東京ドームでも.354と相変わらずの好成績だった一方、併殺打が多い年となった。広島はなぜか誰かの併殺打が急増することがあるのだが、それが去年は鈴木で、今年は西川だった。

 會澤は離脱が何度かあり五輪代表も辞退。打撃三部門で不本意な成績となった。中日戦で.423とよく打ち、ナゴヤドームでは打率5割だった。

 石原は打率は低いものの長打は魅力。最終戦での17球粘っての本塁打は見事だった。これは正隨にも言えることだが、空振りが多いのが気になる。もう少しファウルで粘ることができれば打てる球も増えてくる。だからこそ前述の粘りの本塁打には大きな価値がある。
 田中は開幕から全くといっていいほど調子が上がらず、ショートの座を早々と明け渡すことに。それ以降はコロナ期間を除けばスタメンで出ることはなく、終盤には2軍落ちも経験。フェニックスリーグにも参加したが、良い結果ではなかった。田中クラスだとフェニックスリーグでは無双してほしいのだが。
 安部はシーズン後半に代打として奮闘。代打で.290の打率。
 クロンはパワーは目を見張るものがあるものの、甘い球を仕留める能力が決定的に欠けていた。その代表例が桜井VSクロンという令和の迷勝負である。真ん中付近の変化球を捉えられず4球ファウルにした後、これまたど真ん中の甘い球を打ち損じて内野フライに抑えられた。「ホームランを打たせたい桜井VS絶対に打ち損じたいクロン」のような勝負だった。
 長野は代打でまだ存在感はあるがもう少し率が欲しい。2割1分台では寂しい。
 宇草は終盤は1番に定着。走り打ちをやめて長打が増えた。
 松山は得点圏で.339、代打で.318と今年も勝負強さは健在。DeNA戦で.349、横浜スタジアムでは打率5割。ZOZOマリンで2発打って以降は本塁打がなかった。
 他には羽月や中村奨が覚醒の兆しを見せたが、堂林はリセットされ、メヒアは結局殻を破れなかった。

 最後に上本のことを書いておこう。9月16日の試合、代打で出てきた上本は粘りを見せて10球目に四球を選び、正隨の逆転3ランに繋げた。次の回の打席では無死一・三塁でライトへ犠牲フライを放ち貴重な追加点を挙げた。途中から(たぶん)四球狙いに切り替え、ファウルで粘って出塁した1打席目と、流し打ちで打球を注文通りに外野まで飛ばした2打席目。この日の2打席は自分の役割を理解していることがよくわかるものだった。粘りの出塁が多かった上本だが、死球も多かった。

セリーグ死球ランキング ()内は打席数
10 塩見(534)・青木(501)
8 ウィーラー(427)・ビシエド(526)
7 岡本(592)・京田(448)
6 鈴木(533)・牧(523)・村上(615)・
  中野(525)・上本(68)

他の選手が軒並み400打席を超えているのに対し、上本は68打席。ぶつけられすぎである。

 

打順の変遷      前半戦  後半戦
開幕時  4月末  コロナ時   終盤   序盤  終盤
6田中 4菊池 6田中 4菊池 8野間 8宇草
4菊池 8羽月 9宇草 7西川 6小園 6小園
8西川 9鈴木 7松山 6小園 7西川 7西川
9鈴木 7西川 8西川 9鈴木 9鈴木 9鈴木
7松山 2坂倉 2坂倉 3坂倉 3坂倉 3坂倉
3クロン   5安部 5林  5林  2會澤 4菊池
5堂林 3クロン   3メヒア   8野間 4菊池 5林
2會澤 6小園 4安部 2石原 5林  2會澤

 

 

 

・守備編
失策80はリーグ5位。
林12 小園10 坂倉9 田中菊池松山5

 菊池の安定感は流石。全盛期より範囲は確実に狭くなっているが、捕ってからの早さ、送球の正確さは健在。なぜそこにいるのかと思わせるプレーも多い。いくつか抜粋してみたが、もちろんまだまだある。

6/15 対西武
バウンドして投手の頭を越す打球(しかも投手のグラブに当たってコースが変わっている)を二塁ベース後方で処理しセカンドゴロに。

7/3 対阪神
ショートからの送球を二塁ベース上で片足立ちで受け取りそのまま一塁へ送球。一塁はセーフとなったが驚異的なバランス。

9/9 対中日
ショートが追いつけなかった打球をカバーし二塁ベースの左側で好捕し一塁へ。ショートへのセカンドゴロに打ち取る。

9/10 対阪神
前進守備で強烈なライナーに飛びついてキャッチ。

10/13 対DeNA
普通のセカンドゴロが手前でバウンドが変わり高く弾んだ打球に。これに見事反応し落ち着いて処理。

10/14 対DeNA
一二塁間を抜ける速いゴロに追いつき、ライト前で捕球し一塁をアウトに。

 

 その他は鈴木の肩を除けば厳しいようだが平均以下。特に三遊間は徹底的に鍛えなければならないだろう。小園は後半は改善されてきているがそれでもやや守備範囲が狭い。そして後ろに上がった打球を追いすぎ。ある程度はレフトに任せていい。林は範囲内(決して広くはない)のライナーはよく処理するがファウルゾーンに上がったフライが取れないのが深刻。他にも相変わらずひどい松山や、西川の気の抜けた守備などの問題もある。

 もちろん明るい話もあり、坂倉は左腕のスライダーの後逸が減少し、宇草も送球が改善されつつある。守備固め要員としての三好や上本や曽根の存在も重要で、三好の守備は安定感があり、上本は印象的なファインプレーを見せた(9月21日・10月16日など)。曽根は内野手出身ながら肩の強さが武器。外野の守備ではその強肩で走者の進塁を防いだ。

 守備面で今のチームに足りないのは盗塁阻止や外野からの返球のコントロール。個人的には肩の強さより正確なコントロールの方が数段大切だと考えている(もちろん両立できれば一番なのだが)。走者を刺すためについ慌てて投げてしまいそうになるが、捕ってすぐ投げるのではなくあえて一拍置いて狙って投げた方がいいのではないか。

 

 

 

・走塁編
盗塁68 曽根鈴木野間9 宇草羽月6 大盛5
盗塁死 菊池宇草5 曽根鈴木小園4
    田中坂倉西川3

 盗塁死が多い。盗塁死だけでも40を数え、これはリーグ最多。走塁死・牽制死も含めるならかなりの数になる。(盗塁-盗塁死)が4以上になるのは野間(8)、曽根・鈴木・羽月(5)、大盛(4)のみ。ちょっと失敗が多すぎる。最低でも失敗数と同じぐらいの貯金を作りたい。これで盗塁成功率は67%になる(それでもまだ低いが)。

 それに牽制死も多い。もはやリードをとらなくていいレベル。極論だが牽制で刺されるぐらいなら塁上でのリードなんてとらなくていい。ベース上で突っ立っていた方がマシである。それを捨ててリードをとることを選ぶのだから刺されるなんて絶対にあってはならないこと。特に代走が。

 今年はここ何年かで一番と言っていいほど気の抜けた走塁が目立った。変なところで挟まれてアウトとかライナーで戻れずダブルプレーとかなんでそんなに刺されるの?何考えてるの?逆に何も考えてないの?頭空っぽなの?これに関しては絶対に原因を究明して来季へ繋げてほしい。

 

 

 

 


◎今年の佐々岡采配

最も酷かったのが5月8日中日戦。2点リードの7回、中田をリード時の、しかも回の頭から出して案の定1失点し、ピンチで塹江に交代。塹江は無事にその回を抑え8回も続投。先頭の左を抑えて交代かと思いきやその後も投げ続けた。その結果3四球で満塁となり、栗林にスイッチ。栗林はここを併殺に抑えて凌ぎ、9回も続投。無死一・二塁のピンチを招くが、2三振と内野ゴロでなんとか無失点に抑えて勝利した。
中田→塹江回跨ぎ→栗林回跨ぎという暴挙。二度としてはならない。

他には
・9回2点ビハインド、二死二・三塁のピンチで前進守備(点を取られたら試合が決まってしまう場面、1点を防ぐために前進守備を敷くよりはどんな打球にも対応できるように定位置で守るべき。しかも投手は大道なので、ポテンヒットよりは定位置に近いフライが来る可能性が高い)

・回の頭に中田廉、走者ありで菊池保則
(中田は火消し能力はあるためピンチで出すのが正解、菊池保は人のランナーはほぼ返すのでピンチで登板というよりは回の頭から投げさせるのが鉄則。これは広島ファンなら誰もが知ることなのだが、首脳陣はいつまでたっても成長せず、回の頭で中田、走者ありの場面で菊池保を出し続けた)

・無死一・二塁で小園にバントさせ、森下に打たせる
(いくら森下の打撃が良いとは言っても、投手と野手とでは雲泥の差があり、この時点で3割打っていた小園の打撃を捨ててまでやる策ではない)

・代打の1番手に(序盤モードの)上本安部

・3点ビハインドの9回裏二死一・二塁、絶対間に合わないタイミングで走者松山本塁特攻余裕でアウトゲームセット

・あっぷあっぷの森浦を代えずに、間も取らずに逆転される

などがある。
あとは巨人戦のスクイズ失敗ぐらいだろうか。9回表1点リードの場面、一死一・三塁でやる必要のないスクイズを仕掛けて失敗。佐々岡政権になってからスクイズが決まったのを見たことがない。バスターもほとんどやらないし。緒方時代は磯村やジョンソンがよくバスターを決めていたのだが。

 

 

 

 


◎観戦記
3/10 阪神9-3広島(オープン戦) スコット
5/4   西武6-6オリックス 初メラド。4時間近い試合
6/9   オリックス3-1巨人  母の希望により
6/11 オリックス4-0広島  山本由伸
7/12 阪神4x-3DeNA   大山のサヨナラ打
8/20 オリックス2x-1西武   吉田正のサヨナラ犠飛
9/4   阪神4x-3巨人  大山のサヨナラHR
9/22 オリックス5-3日本ハム  7回に5得点で逆転勝ち
10/19  オリックス6-3楽天  5回に逆転し逃げ切り


 今年の阪神戦は2試合とも大山が決めてサヨナラ勝ち。ちなみに昨年の11月の阪神戦も大山のサヨナラホームランを観ており、大山のサヨナラ打での決着は3試合連続となる。それにしてもここ2年で3回観に行って3回とも大山でサヨナラ勝ちってどういうことよ。7/12の試合は同点になってそろそろ動画を回そうかと思ったら大山が初球打っちゃったから撮れず。9/4の試合は走者一塁の状況で「大山が繋いでチャンスになったら回そうかな~」ぐらいに考えていたらホームラン打っちゃったから…。非常に滞空時間の長いホームランだった。打球が上がった瞬間から「あ、これ入るわ」と思った。飛んでくるボールをあんなにはっきりじっくり見たのは初めて。私はレフトの中段あたりにいたのだが、前方のやや右あたりに着弾した。もしカメラを回していたら非常にいいアングルで撮れていただろう。これからは9回の大山の打席では何かが起こりそうなのでできる限りカメラを回したいと思う。

 今年のオリックス戦も負けなかった。5勝1分で、3年間負けなし。通算成績は25勝6敗2分の勝率.806。強すぎる。この期間のオリックスの勝率を考えると異常なほど勝ってる。もし私が全試合観戦したらオリックス優勝するのでは?と思っていたら今年本当に優勝してしまった。8/20の試合は100%初球から打つだろうと思いカメラ回しました。犠牲フライでサヨナラの瞬間が無事撮れました。私が観に行くと若月・宗・T-岡田がよく打っていたが今年そこに紅林が加わった。

 ちなみに、広島戦はほとんど勝ってません。最後に勝ったのは2019年のオープン戦と東京ドーム巨人戦だが、その前は2008年まで遡る(と思う)。通算では3勝9敗ぐらい?もはや疫病神レベル。

 

 

 

 


◎神試合ベストナイン

     5/19 巨人2-10広島
     広島 000 019 000 10
     巨人 000 101 000  2
コロナで大幅に選手を入れ替えて臨んだ試合。同点の6回、無死満塁からまずは中村奨が勝ち越し打を放つ。九里が犠打を決め、田中が2点二塁打。羽月の内野安打と長野の四球で繋ぎ、鈴木がタイムリー、続くクロンが初球をスタンド上段へ運ぶ満塁アーチ。流れるような無駄のない攻撃でこの回一挙9得点。九里は9回2失点完投。

 

     6/15 広島5-3西武
     西武 010 010 100 3
     広島 100 110 02X 5
3度のリードを追いつかれて迎えた同点の8回、二死一塁から宇草が勝ち越し2ラン。この一打で交流戦セリーグの勝ち越しを決めた。9回は連続無失点記録が止まったことで逆に吹っ切れた栗林が3者連続三振に抑えた。

 

     7/8 広島5-3DeNA
     DeNA 030 000 000 3
     広島   021 000 02X 5
3点を先制されるが林の2ランですぐに詰め寄り、坂倉の内野ゴロの間に同点に追いつく。8回に代打長野が試合の均衡を破る決勝2ラン。

 

     7/10 ヤクルト0-5広島
     広島 020 000 012 5
     ヤクルト 000 000 000 0
2回に石原の適時打で2点を先制し、8回には坂倉がソロを放ち追加点。その裏、ほぼ完璧な投球を続けていた大道がヒット・エラー・四球で無死満塁のピンチを招き降板。代わったバードが内野ゴロに打ち取り、後を受けたコルニエルが2者連続三振を奪う好救援。9回にも加点して突き放した。大道は8回途中2安打無失点の好投。

 

     8/20 広島5-4ヤクルト
     ヤクルト 011 110 000 4
     広島 000 005 00X 5
4点を追う6回、先頭の菊池がホームラン。代打中村奨と野間の連打でチャンスを作り、長野の打球が相手のエラーを誘い2点目。なおも無死一・三塁で小園、鈴木が連続タイムリーを放ち追いつく。坂倉が犠打を決め、代打松山の犠飛で勝ち越し。その後はケムナ、バード、森浦、栗林と繋いで逃げ切った。

 

     9/7 広島8x-7中日
     中日 000 103 030   7
     広島 200 000 105x 8
4点ビハインドで迎えた9回裏、林と安部がヒットで出塁し、西川と鈴木の連続適時打で2点差まで詰め寄る。なおも続く二死一・二塁の好機で、坂倉が逆転サヨナラ3ラン。今シーズン唯一のサヨナラ勝利。

 

     9/21 広島2-0巨人
     巨人 000 000 000 0
     広島 000 002 00X 2
6回裏に一死一・二塁から鈴木の適時打で先制。続く坂倉も適時打を放ち追加点。床田が9回無失点9奪三振の快投でプロ初完封。

 

     9/26 DeNA8-10広島
     広島   000 111 304 10
     DeNA 020 001 410  8
同点の7回、林のソロと西川のタイムリーで勝ち越しに成功する。2点を追う9回、代打松山がヒットを放ち、小園がエラーで出塁し西川もヒットで繋ぐ。一死満塁となり、鈴木が2点タイムリーを放ち同点。坂倉が四球を選んで迎えた再び一死満塁で菊池が勝ち越しの2点打。

 

     10/21 ヤクルト7-11広島
     広島 020 100 710 11
     ヤクルト 001 500 100  7
林の2ランで先制するも集中打を浴び逆転を許す。7回、先頭の會澤がヒットを放ち代打長野も四球で出塁して迎えた好機で、宇草のセンター前への打球を相手が後逸し、宇草も生還して同点に追いつく。その後小園と鈴木のヒットで再びチャンスを作ると、坂倉菊池が連続タイムリー、會澤がとどめの2点二塁打

 

 

 

 


◎コラム① 審判

 山路、丹波、嶋田、橘高の4人について書いてみる。
 山路は広島嫌いで有名で、最も当たりたくない審判である。2017年には自分の誤審が原因で緒方前監督を初めて退場に追い込んでいる。今年も山路の広島冷遇は健在で、9月10日の阪神戦では、広島に対しては微妙なコースを全てボール判定し見事広島を敗戦に導き、10月16日の巨人戦では栗林のストライクゾーンを極端に狭めた結果、栗林は2失点する羽目になった。
 丹波は微妙な判定の時に見る気がする。「なんか納得いかないなぁ…」というときはだいたい丹波が審判。嶋田は広島がというよりは他球団の試合でよく見ることが多い。丹波と嶋田のコンビは凶悪で、この二人が組むとよく誤審が生まれる。ちなみに、今シーズン最大級の誤審と名高い9月13日の中日ヤクルト戦の追いかけっこ事件と後述の10月18日誤審もこの2人のコンビ。
 橘高は2019年5月の巨人戦で意味不明で理不尽な判定を下し、それに抗議した緒方を退場させている。
 問題がある審判は他に西本や眞鍋などもいるが、きりがないのでこの辺で終わりにする。一つ言えるとすれば、きちんとした判定を下す審判は印象に残らないので名前を覚えられることはない。つまり名前を知られている審判はだいたいクソ審判である。

 

※10月18日誤審
 10月18日の甲子園での阪神広島戦で起こった誤審。1点を追う8回無死一塁で會澤が放った地面スレスレの打球をレフト板山がキャッチし、飛び出していた一塁走者の大盛も戻れずダブルプレーとなった。広島側は、地面でワンバウンドしていた可能性もあるため、リクエストを要求したが判定は覆らなかった。
 しかしこの打球、よく見ると明らかにワンバウンドしているのである。私はリアルタイムで観たわけではなく後から動画で見ただけだが、下向きに動いていた打球が、グラブで捕球される直前に上向きに変わっている。どう考えてもワンバウンドで、完全なる誤審である。テレビ中継のスロー映像でも確認できるレベルなので審判が分からないはずがない。しかもこのとき、塁審のジャッジが遅かったようで、それにより走者の帰塁が遅れていた。緒方や高なら確実にブチ切れてベンチを飛び出している案件である。ブラウンだったら全部のベースを投げて退場するし審判も走者の大盛も投げる。
 これは誤審そのものが問題ではない。リクエストして再協議をしたうえでの誤審だから問題なのである。誤審を防ぐ制度であるはずのリクエストが全く機能していないのだ。審判は一体何を見ていたのか。目が節穴なのか判定を覆すのが面倒だったのかしょーもないプライドのためか。これにより広島は本来ならば無死一・二塁の同点・逆転のチャンスとなるはずだったが、二死走者なしとなり反撃ムードはしぼんだ。試合の流れを大きく変えてしまった判定である。審判が試合を作るようなことは絶対にあってはならない。

 

 

 

 


◎コラム② サヨナラ勝ち未遂
サヨナラ勝ち出来そうだった試合をいくつかピックアップしてみた。


3月28日 0-0 対中日 投手祖父江
二死一塁から安打と四球で満塁とし堂林三振

5月3日 2-3 対巨人 中川, ビエイラ, 桜井, 高梨
一死から連打と暴投で二・三塁のチャンスも桜井から石原三振、菊池敬遠、代わった高梨から田中二ゴロ

5月16日 3-3 対DeNA 投手三嶋
二死から連打で一・三塁としたが松山が二ゴロ

6月27日 1-1 対中日 投手又吉
一死一・三塁から小園浅い外野フライ、代打長野四球、坂倉二飛

7月7日 3-3 対DeNA 投手三嶋
一死から坂倉四球林ヒットで一・二塁とするも野間一ゴロ、代打松山中飛


ちなみに、今シーズン唯一のサヨナラ勝ちは9回に4点ビハインドをひっくり返したものなのだが、どう考えてもそっちの方が難しいことをやっている。

 

 

 

 


◎コラム③ ハマスタの悲劇
すっかり毎年の恒例行事となったDeNAにトラウマ級の負け方をする広島の光景。せっかくなのでこの場で供養しておこう。


2017年8月 三者連続ホームランでサヨナラ負け。そこから3日連続サヨナラ負け

2018年8月 代打ウィーランドを歩かせて倉本に打たれサヨナラ負け

2018年8月 再び三者連続ホームランで逆転負け

2019年9月 3ランと満塁弾で7点リードを1イニングで追いつかれ、サヨナラ3ランを喰らい負け

2020年6月 スコット4連打でサヨナラ負け。森下の初勝利が消える

2020年7月 逆転サヨナラ満塁ホームランで負け


今年は5点差をひっくり返され逆転負け。これらに比べると全然大したことない。

 

 

 

 


◎来季展望
先発  大瀬良九里森下床田玉村高橋昂
    アンダーソン(野村大道遠藤中村祐森)
リリーフ  菊池保ケムナ塹江コルニエルターリー
    森浦島内栗林
    (高橋樹中田フランスア黒原松本)

打順        (若手主体)
1右野間       1二羽月
2二菊池涼      2右中村奨
3遊小園       3遊小園
4一マクブルーム   4三林
5左西川       5一坂倉
6捕會澤/坂倉      6左正隨
7三林        7中宇草
8中宇草       8捕石原
代打等 長野安部中村奨正隨松山(中村健末包)


 投手は大瀬良、九里の残留でなんとか目途は立った。これに森下も加えた三本柱は全員が10勝を期待でき、12球団屈指だろう。勝ちパターンは森浦島内栗林になりそう。フランスアが以前のレベルにまで戻れば8回を任せることができる。中継ぎは若いピッチャーばかりなので、経験豊富な中﨑には復活してほしいところ(といっても中﨑もまだ20代なのだが)。新人の森は先発、黒原と松本はリリーフでの起用が予想される。

 一方、野手は鈴木が抜けたことでかなり迫力不足に。現時点でレギュラーが確約されているのは菊池ぐらい。30本どころか20本打てそうな者がいないため、新外国人のマクブルーム頼みになりそう。それでも、坂倉、小園、林、宇草などの左打者には期待できる若手が多く、石原、正隨、中村奨などの右打者が一皮むけてくれればそこそこの打線にはなる。個人的には中村奨には鈴木が抜けた後のライトとして期待している。

 広島は一応若手野手が育ってはいるが、選球眼があるといえるのは坂倉・羽月・中村奨ぐらいで、早打ちのフリースインガーが多い。それが悪いわけではないが、四球を選べるというのは大きなプラス材料になるため、ボールを見る力・配球を読む力を鍛えることが大切である。チーム打率はここ数年リーグ上位だが、出塁率が上がれば相手がより気を遣う打線になる。

 

 来季の首脳陣についても触れる。来季は、高橋建が1軍投手コーチに、小窪が内野守備走塁コーチにそれぞれ就任。河田ヘッドは外野守備走塁コーチを兼任し、東出が1軍に復帰し野手総合コーチに。これを見る限りフロントはどうやら東出を次の監督として考えているよう。
 これで恐らく河田は試合中は三塁コーチに専念することになり、現役時代かなり1軍の試合に出ていた東出を1軍に置くことで作戦の幅も広がるだろう。

 そして肝心の佐々岡は、投手を見る目は本物だし、FA引き留め率は100%。監督として以外なら有能であることはファンは理解しているので、そろそろ監督としても結果を出してほしい。勘違いしてる輩もいるようだが、結果を出すということは優勝することやAクラスに入ることだけではないのでね。

 全て采配で負けてるとは言わないが負けに繋がる采配は確実にしていた今年の首脳陣よりは流石に良くなる…はず…。とりあえずバントの多用はやめてほしい。

 

 近年のペナントレースは“外国人ゲー”で、助っ人外国人の出来不出来で結果が大きく左右される。例えば、阪神と広島の外国人を入れ替えれば(ガンケル&スアレス&マルテ&サンズ⇄スコット&ネバラスカス&クロン&メヒア)、順位が入れ替わった可能性だってある。今年のセリーグは唯一外国人が揃っていた阪神が開幕ダッシュに成功し、優勝したヤクルトも外国人の活躍が目立った。パリーグでも唯一外国人野手が機能していたロッテが最後まで優勝争いをしている。これらのように、当たり外国人を引き当てることができれば一気にひっくり返すことも可能である。

 また、何が起こるのか分からないのもペナントレースである。今年優勝したヤクルト・オリックスは下位予想が多かったが、ヤクルトは当たり外人野手2人&投手の急激な良化によって、オリックスは山本と吉田のチームだったところに宮城と杉本が出てきて投打の柱が2人ずつになり優勝を果たしている。

 現段階での広島は最下位候補筆頭で、恐らく10人中8~9人ぐらいは広島を最下位に予想するだろうが、もしかすると何かの間違いで上位に食い込むこともあり得ない話ではない。そして、良い兆候というわけではないが、実は三連覇前の2015年と状況は似ているのである。ヤクルトの優勝、4位、シーズン終盤の甲子園での誤審、チームの柱がメジャー移籍。オカルト的な要素だがほんのちょーーーっとだけ期待しておきたい。

 個人的には長野さんを優勝させたいという思いがある。2019年の始め、巨人へFA移籍した丸の人的保障として広島に移籍することになった長野は、「強いカープに選んでいただいて光栄」という内容のコメントをした。巨人に入団するためにドラフトで指名されても2度断るほど巨人を熱望していたのに。今では広島のテレビ番組にも出演するまでになり、チームにも広島の街にも馴染んだ長野を“強いカープで”優勝させてあげたい。

 

〈来年の阪神さんへ〉
秋山を執拗にぶつけておいて5勝5敗はどうなのよ?
飽きるから秋山ばかり当ててくるのはもうやめてね。
秋山と同じぐらい青柳を出してくれ。

 

 

 

 


◎お悔やみ
今年で戦力外となった者たちに向けて。

今村猛 
三連覇の功労者。2軍ではそこそこの投球だったが1軍では通用しないとみられたか。そもそも今村は1回壊れており三連覇の時に見事な復活を果たしている。1回壊れて戻ってくるだけでも難しいのに2回目となるとさすがに…。もう一度1軍で投げる姿を見たかったが、2度目の復活はやはり厳しかった。

鈴木寛
とんでもねぇイップス

中村恭平
2019年の覚醒は見事だがその後結果を出せず。

スコット
ネタ枠としては話題を呼んだが1軍では1ミリも通用しなかった。

ネバラスカス
何で獲ったのかというレベル。

桒原樹
プロ6年目でやっと1軍に呼ばれたその日の試合でエラーしたのが印象悪い。

髙橋大樹
2019年にプロ初HRなどで頭角を現し、翌年6月の練習試合でナゴヤドームで2打席連続本塁打を放ちアピールに成功。7月1日神宮でのヤクルト戦、9回逆転のチャンスで打席に入り、守護神石山からいい当たりを放つも相手の好守により遊直に抑えられた。この打球が抜けていれば未来は変わっていたかもしれない。

永井敦士
2軍でも率を残せなかった。

 

 

 

 


最後に、まだ触れていない選手について一言ずつ書こうと思ったのだが、もうしんどいのでやめます。
一応名前だけ書いときます。

17岡田明丈  23薮田和樹  30一岡竜司
47山口翔   48アドゥワ誠 53小林樹斗
57田中法彦  58藤井黎來
32白濱裕太  40磯村嘉孝  54韮澤雄也
56中神拓都  61矢野雅哉

はい、これで全選手に触れることができましたとさ。

 

 

 

 


ある程度調整した昨年とは違い、書きたいことを漏れなく全部書いてみたらこうなりました。
今までで一番の文字数になりました。
疲れたので所々適当になった箇所があるが許してちょーだい。
もう二度とこんなに書くことはないでしょう。
それはそうと今年のM-1大丈夫かね?
オズワルドしか期待できるコンビがいないしランジャタイが決勝行ってることが一番意味分からないよ…?


                おしまい。

 

 

 

 


~今だから言えること~
マクブルームはクロンよりは確実にマシとは思っていたが、期待以上の活躍を見せてくれた。
果たして2022年版のカープ記事はこの年の字数を超えるのでしょうか。時期的にそろそろ書き始めないとですね。

 

 

 

 

 

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