※キングオブコント2019

キングオブコント2019講評】(約4700字)
※過去記事

脱稿 2019年11月2日
公開 2022年9月16日

 

 

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※過去記事は、そのときの私の感想を残しておくために、あえて原文のまま(誤植があれば直しますが)掲載します。そのため、今となっては不自然な表現や記述がある可能性もございます。例えば「最近の~」や「数年前の~」といった表現が出てきた場合、それは現在ではなく、記事を書いた時点での“最近”や“数年前”を指しています。
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読みやすさに定評がある(と思ってる)私の自己満足記事である。放送から1か月以上遅れてお送りする。片手の指が余るほどの私の読者に届けたいと思う。一人でも読んでくれる人がいるのなら、最悪読んでくれる人がいなくても、私は書き続ける予定なのでそこんとこよろしく。昨年のM-1や今年のR-1の私の記事を読んだ人なら分かると思うが、私の考察記事はネタ中のフレーズや設定を講評文の中に入れて上手いことを言う(というか言いたい)という特徴がある。そこが私の記事の読みやすさに繋がっているという自己評価である(何の話だ)(わざわざ自分で言うのも恥ずかしいのであまり大声では言いたくないが、あえて言いました)。それはさておき、これからはM-1とR-1とキングオブコントを全部書くことにした。さらに毎年出す予定の広島カープ記事と合わせて自己満足記事は年4回の公開を予定している。気が向けば+αで何か書くかもしれない。

 

 

 

まず一つ言わせてほしい。前回大会から決勝進出者はシルエットのみ公表され、本番でようやく発表されるようになったが、この制度必要?決勝進出が決まって本番前に軽く宣伝も兼ねてテレビに出られることもあるし、芸人にとっては不利でしかない。また、決勝進出者に無名の芸人がいたら過去の動画を漁ったり、どんなネタをするのかと考えたりするコアなファンもいるだろう。私はそこまでではないが、それでも誰が優勝候補かとか、こいつ知らねーなとかは考える。とすると、この制度は視聴者にとっても芸人にとってもメリットは無いといえる。つまり私が言いたいのは、そんな小手先だけで数字を取ろうとする制度はやめろということである。

 

 

じゃあ採点いくよ~~(いや軽いな!)

 

 

 

 


うるとらブギーズ「催眠術」 90
今大会で初めて見たコンビである。ネタは悪くない。最初は観客に?と思わせておいてだんだんとタネが分かってくるにつれて面白くなり、最終的にカシモトが何人もの台詞を喋る。1つの設定を飽きられることなく最後までやり続けたのはシンプルに凄い。というか「カシモト」という名前のチョイスが絶妙。カシモトっぽいもん。審査員はまるで催眠術にでもかかったように軒並み高得点だったが、確かに面白さはあるがそこまでのネタだろうか、と私は感じた。

 

ネルソンズ「誰にも言わない?」 89
あいつは絶対に秘密を言うだろうなと視聴者全員が思った。「部室掃除させるぞ」や「グラウンド整備させるぞ」といった軽い罰でも言っちゃうのがまた面白い。最後の謎のキレ方も含め、にちようチャップリンでのネタと比べるとちょっとバタバタしすぎた感じはある。

 

空気階段「タクシーの客」 91
新品のトランペットにへちまが入っていたり、親戚80人でジェネレーションズのライブに行ったり、という奇想天外なボケをかましてくるが、その人物が実際にいて、しかも外見がそっくりの別の人という展開。最後まさかの3人目がいることが発覚したところで終わってもいいのだが、その3人目を追いかけていくところで終わるのも秀逸。審査員の点数は低かったが、全然悪いネタではない。

 

ビスケットブラザーズ「知らない街に来た」 91
こちらも今大会で初めて見たコンビ。見た目に反したメルヘンなファンタジーコント。最初はのんびりしたキャラコントだが「全て思い出した!」から怒濤の展開が待っていた。まさかあんなことになるとは、といった感じで引き込まれる。最後のオチのくだらなさとのギャップもまた良い。

 

ジャルジャル「英語に聞こえる」 94
ジャルジャル凄い。M-1での言葉遣いのネタや、ピンポンパンゲーム、国名分けっこなど独創的なネタをよく考えつくよなと。そしてそれを外さないし。発想力は芸人の中でトップクラスなのではないか。途中英語を喋って日本語に聞こえるかどうかを試すのだが、聞こえた日本語が「天井が~穴だらけで~サビだらけの~一輪車が~ハンガーを~ネズミで~ずーっと…」という絶妙な気持ち悪さを持っているのも高評価ポイント。私は今大会で一番のネタだと思ったが、審査員からの評価は不当に低かった。

 

どぶろっく「神様と農夫」 93
こいつらアホだ。どぶろっくがコントって何をやるのだろうかと思ったがまあそういう系か。ただしょうがない。笑ってしまったからには点数をつけるしかない。「皆が二度見する」とか、「体に担げるぐらいの」という形容詞が馬鹿馬鹿しすぎて面白かったのでそこは評価した。それにしてもまさかこのネタが過去最高点(現行方式になった2015年以降で)になるとは。

 

かが屋「プロポーズ」 89
このコントは現在と過去の対比で笑いを生むという高度なことにチャレンジしており、そこにかが屋のセンスの高さが見て取れる。一般的にコントの出だしは状況説明から入ることが多いが、このコントはそこを詳しく説明せずにカレンダーの存在などで、暗転が多いが実はすべて同じ日の出来事だという時間軸を分からせている。賀屋が持っている花が無駄にデカいのもだんだん面白くなってくるのだが、悔やまれるのは、展開が「彼女が来ない」の一点張りで、さらにオチも弱かったこと。ちなみに、ネタ中に流れていた閉店のBGMは蛍の光ではなく別れのワルツという曲。原曲は一緒だが、蛍の光は4拍子で、別れのワルツは3拍子という違いがある。

 

GAG「芸人の彼女」 88
発想としては良いし、ネタに市役所勤めのような安定感は出てきているのだが、爆発的に面白くなるかというとGAGはそういうトリオではないだろう。また、宮戸扮する女が「私はブスでいい、ブスでいく」と言うくだりがあるが、そもそもブスなのでこのくだりにはリアリティーがない。ただこのネタに関しては、男女コンビのネタの一種のあるあるやキャラの方向性の選択などが描かれているため、芸人が共感できるコントだというのは分かる。そのため審査員からの評価は高かったと思われる。

 

ゾフィー「腹話術師の会見」 87
前回決勝に来たときのネタがくそほどつまらなかったゾフィーだが、人形やカメラワークの部分に助けられた感じはあるものの、今回はだいぶましになったといえる。腹話術師というお前誰だよ的な存在の人にも不倫の謝罪会見の場が与えられるという現代への風刺を感じるネタだが、内容はまあその程度かといったゾフィークオリティだった。「でも~前のくそみたいなネタに比べれば~少しはましになったんでしょ?」「もちろん少しはましになったよ」「じゃあ~問題無いんじゃない?」「…たしかにね」とはならなかった(ならなかったんかい!)。

 

わらふぢなるおバンジージャンプ」 86
去年のネタがただイライラさせるだけのものだったため去年は酷評させていただいたが、今回はイライラ感は無くなったが同時に笑いも減った。彼らのネタのスタイルは、変なボケに対してシンプルなツッコミを入れるという、どちらかと言えば正統派であるため、ひとつひとつの言葉がハマらなければ苦しくなる。最初に決勝進出した2017年のネタはそれが一番出来ていたのだが……。このままではバンジージャンプのように落ちていくかもしれない。

 

 

 

 


ここでちょっと小話をひとつ。今大会で初めて、同率3位でジャルジャルGAGが並ぶという現象が起こった。上位3組が2本目をやるというルール上、どちらか一方を選ぶというのはしょうがないことである。ただ、今回はジャルジャルが選ばれ、私も投票するならジャルジャルだったが、もちろん逆の人もいるだろう。審査員の人数を増やしたらどうかという意見もあるが、それでも同点で並ぶ可能性が減るわけではない。何か良い案あります?(逆に質問)

 

 

 

 


ジャルジャル「泥棒」 86
泥棒がとっさについた嘘が奇跡的につながるという展開。1本目のネタと比べると笑いは少なかった。最後ホラーで終わったのもとりあえず終わらせてみました感が強く、ネタの構成という点では評価を下げざるを得ない。もしかすると夢オチのような展開だったのは本物の庄原から泥棒への庄原ショータイムだったりして……。福徳が足を怪我したため急遽ネタを変更したようだが、もし本来やる予定だったネタならどうなっていただろうか。

 

うるとらブギーズ「実況と解説」 88
くだらない話に夢中でキックオフの瞬間やゴールシーンなどの大事な所を見逃すという設定は実に良い。あの二人が実況っぽいし解説っぽいし実際に居そう。ただ、笑いが起こるポイントが、キックオフを見逃したところ、ゴールシーンを見逃したところ×2、でも見れました~、のせいぜい4回(個人差あり)で、その他のくだりでは笑いのゴールを決められなかったのが惜しかった。

 

どぶろっく「神様と山男」 85
配役は逆だが、場面や曲は同じで、1本目とほぼ一緒の展開。別にこのネタに限ったことではないが、同じテイストのネタ2本だと工夫しなければ飽きられてしまう。自分たちにはこれしかないと言っていたようにこれがどぶろっくのイチモツなのだろう。それならもう私から言うことはない。自分たちの信じる道を勝手に突き進んでほしい。ただ、正当派のしっかりとしたコントを作り込んでいる芸人に失礼なので、キングオブコントチャンピオンと大々的に名乗ってほしくはない。

 

 

 

 


~言い訳~
今回初めてキングオブコントの講評を長尺で書いてみたがコントの評論というのは難しい。M-1の感想記事のときは言葉がすらすら出てきたのだが、今回はなかなか筆が進まず、完成までかなりの時間がかかってしまった。そのため、少々説明不足であったり、うまく表現できなかったりと私の売りである読みやすさの質がたぶん落ちている。この反省は来年のキングオブコント考察記事に活かすつもりなのでご了承いただきたい。また、同時期に記事の執筆を4つとデータ収集を3つ並行しておこなっており、フリーライターみたいなことになっていたのも時間を要した理由である。

 

 

 

~誤植~
今大会で私が見つけた誤植を紹介する。
まず1つ目、ネルソンズがネタを終えて出て来たときに画面の下にテロップで名前が出たのだが、青山と岸のテロップが逆だった。2つ目、画面右上のシルエットの紹介文で「次は2年連続出場コンビ」とあり、わらふぢなるおが登場したが、わらふぢは3年連続である。どちらも少し確認すれば防げるミスであった。生放送ではあるが、確認はしっかりとしてもらいたい。

 

 

 

最後に、今後の自己満足記事の公開予定を載せておこうと思う。

   11月末 カープ解説
   12月末 M-12019講評
                 です。

ただ、今年はM-1の決勝が12月22日と例年より2週間ほど遅いため、M-1記事を年内に公開するのは厳しいかもしれない。

 

                   終

 

 

 

 


~今だから言えること~
決勝進出者シルエットは一瞬で終わったね。良い傾向。やっぱりダメだったものはすぐ戻さないと。R-1よ、お前のことだぞ。

 

 

 

 

 

 

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