※M-1グランプリ2018

M-1グランプリ2018 感想】(約5200字)
※過去記事

脱稿 2018年12月31日
公開 2022年9月9日

 

 

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※過去記事は、そのときの私の感想を残しておくために、あえて原文のまま(誤植があれば直しますが)掲載します。そのため、今となっては不自然な表現や記述がある可能性もございます。例えば「最近の~」や「数年前の~」といった表現が出てきた場合、それは現在ではなく、記事を書いた時点での“最近”や“数年前”を指しています。
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ネタの感想の前に一つ。
笑神籤はいらない。こちらとしては最高の漫才を最高のタイミングで観たいので事前に順番を決めて漫才をした方が芸人にとっても視聴者にとっても良い。その上笑神籤をゲストを呼んで引かせる意味は何だ。ゲストを使うと笑神籤の本来の目的とはズレるので邪魔でしかない。

 

最初に私の採点基準を伝えます。基本的には笑いの量(+構成点+感動点±その他)。目安は90で良い、94で素晴らしい、95で最高。96以上は余程でないとつけない。ここ数年の賞レースで96以上をつけたのはタイムマシーン3号96(M-12015)、三拍子98(THE MANZAI 2014)ぐらい。では考察を始めます。

 

 

 

 


見取り図「女の子を紹介」 89
去年敗者復活戦で観たが大して面白くなかったコンビ。しかし今年はまあ決勝で見せられるぐらいにはなったかなという印象。成長の跡が見られたが改善すべき点は多い。まずツカミだが、豚まんと言われても豚にも豚まんにも豚肉にも見えない。次に「すがゆりこ」「マルコ牧師」というワードだが、実在しない人物を出して誰それという回収は悪くはないが回収までが長すぎた。その間視聴者はずっと頭の片隅に?マークを浮かべながら観ることになるため漫才に集中できない。マルコ牧師は何回か言って強調していたので記憶にあったが、すがゆりこに至っては序盤にポロッと言っただけなので誰~?と言ったときに最初は私も本当に誰?となった。あーそういえばそんなこと言ってたなー程度のものを回収する方があたおかである。あと「あたおか」という言葉を聞いて瞬時に「頭がおかしい」と連想できないのでそれを自分たちの自慢のフレーズにするのはやめた方が良い。何より流行らない。水上和巳さんの描いた見取り図でも見て笑いを磨いてほしい。…誰~?何か回文になってるし~……。ツッコミの方がどことなくロッチ中岡に似ている(超主観)ので「あたおか」をやめて「なかおか」にしたら良いと思う。


【審査員採点】
巨人礼二塙志らく富澤松本上沼
88 91 85 85 86 83 88 606
特に言うことはない。

 

 

 

スーパーマラドーナ「怖い隣人」 91
今年がラストイヤーのスーマラ。私も応援していたがやや期待外れ。まずその何回も聞いたツカミは変えてほしい。怖い隣人の武智が田中の家に行ったが実は田中の方がヤバイ奴だったという導入は素晴らしい。期待値は跳ね上がったがそこからは下がる一方だった。後半はサイコ要素が強めで結果的に笑いに繋がらず全体の笑いの量は少なかった。期待していた人たちにとっては本当に地獄のショータイムになった。田中がドアを閉めたところがこのネタのピーク。もっと後半に大きな笑いがあれば結果は違ったものになっただろう。


【審査員採点】
巨人礼二塙志らく富澤松本上沼
87 90 89 88 89 85 89 617
まあそんなもんかといった具合。

 

 

 

かまいたち「過去に戻るなら」 92
去年の反省を活かしてきた。怖い話で笑わせたいのか卍の話で笑わせたいのかがどっちつかずだったため、ポイント以上に勿体なかった去年とは違い、「好きだった子に告白」と「ポイントカード」という二つの言葉をうまく組み込んで脱線することなく笑いに変えていた。しかし優勝できるかと言われるとそのレベルではない。かまいたちを批判しているわけではなく、漫才とコントの二冠を目指す彼らに求められるレベルというのはどうしても高くなってしまうのである。ちなみに私は去年のネタの方が笑った覚えがあるのだが、漫才としては今年の方が出来がいいと感じた。例えるなら楽しいゲームと面白いゲームの違い。いま分かりにくく説明してます。


【審査員採点】
巨人礼二塙志らく富澤松本上沼
89 92 92 88 91 90 94 636

 

 

 

ジャルジャル「国名分けっこ」 95
凄い。シンプルに凄い。2015年に素晴らしい完成度の漫才を披露し、去年には強烈なインパクトを残したジャルジャルが今年も凄いものを見せてくれた。理由は全く分からないがとにかく笑った。個人的には今大会最高のネタである。このネタを観て以来地理の問題でインドネシアとアルゼンチンが出てくるたびにドネシアとゼンチンが頭をよぎる。点数は最初94としたが後に2015年に並ぶネタだと判断しなおし、ラストイヤーの御祝儀と、ずっと自分たちのスタイルを変えなかった信念への敬意も含めて95とした。


【審査員採点】
巨人礼二塙志らく富澤松本上沼
93 93 93 99 90 92 88 648
志らくが笑えなかったけど面白いと言って99点をつけたのが全く理解できないが後はそれなりに高い点数となった。上沼はどこがどう嫌いなのかという肝心な部分を言わず、ただ「このネタは嫌い」と言っていた。そういうとこだぞ。

 

 

 

ギャロップ「モデルとのコンパ」 87
キャリアがあるだけに悪くはない。面白い。安定感はある。だが普通。爆発力に欠ける。こんなところだろうか。この舞台のこのタイミングで披露するネタとしては華や動きや強弱が足りない。劇場で座ってのんびり観るタイプの漫才。


【審査員採点】
巨人礼二塙志らく富澤松本上沼
87 90 89 86 87 86 89 614
上沼さん、自虐ネタはウケないと言いましたね!では後ほど。

 

 

 

ゆにばーす「遊園地」 88
まず敗因としてはツカミを外して噛んだこと。これにより余裕がなくなって空回り。ネタを音読するので精一杯になってしまい、「UHA味覚糖」「遠心力を揃えろ」などのせっかくのワードも活きない。川瀬名人と名乗るなら極度の緊張に陥ることなく高速ツッコミ16連射を決められるぐらいにはなってほしい。あと途中のしゃべくりパートはどっちつかずになって質を下げるだけなのでしゃべくり漫才コント漫才かどちらかに統一すべき。あれが必要だったとは思えないし。


【審査員採点】
巨人礼二塙志らく富澤松本上沼
84 91 82 87 86 80 84 594

 

 

 

ミキ「ジャニーズ事務所」 92
「ジャニーズのグループのメンバーに欠員が出てる」には笑わせてもらった。確かに最近は問題を起こしたり気が狂ったりしたのか脱退することが多いね。そしてまた大して売れもしないであろう変なグループ(某キンプリなど)ができてすぐ消える。飯時の牛丼屋より人の回転が速い。こんな感じで悪口を言っても安心だ。私の身近な人にジャニーズファンはいないのだから。話を戻すと、面白いけど去年の方が良かったというパターン。テンポは良いのだが内容を進歩させないと去年の成績を超えることはできないだろう。ただ漫才に安定感が出てきたように思う。この安定感を生かすも殺すも彼ら次第。


【審査員採点】
巨人礼二塙志らく富澤松本上沼
90 93 90 89 90 88 98 638
おい上沼!絶対贔屓してるだろ!!
全編自虐ネタだったぞ!!!いくら何でも98はやり過ぎだろ!!!!

 

 

 

トム・ブラウン「ナカジマックス」 79
面白くない。2015年に復活してからは昔のM-1のように本当に面白くない奴は出てこなかったが、久しぶりに来た。彼らは面白いと思ってやってるのだろうか。だとしたら本当に「ダメ~~」である。2本目にやる予定だった土の中から加藤一二三が出てくるネタもにちようチャップリンで観る機会があったが、びっくりするほど面白くなかった。観たのがM-1の前日だったのだが、M-1では大丈夫かと不安になったらその通りの結果となった。君たちの代わりにプラス・マイナスが決勝に行っていたらどんなに良かったことか。とすると本当に「ダメ~~」だったのは準決勝の審査のようだ。何よりトム・ブラウンの間の・を打つのが面倒臭い(プラス・マイナスは実力があるので許せる)。実力もないのにそんなところに修辞を加えるなと言いたい。もっと下げても良いのだが、79点としたのは敗者復活で彼らより面白くない漫才に78点をつけたため。


【審査員採点】
巨人礼二塙志らく富澤松本上沼
87 90 93 97 89 91 86 633
巨人がYouTubeでネタを観ていたことが驚きだが、それはさておき、志らくは新しいものが好きで奇をてらったネタに高得点をつけるということが分かってきた。

 

 

 

霜降り明星「豪華客船」 94(94.3)
せいやの動きに粗品のワードが加わって笑いが増幅している。会場と一体となって漫才をしていてまるで1つのショーを観ているような感覚。その甲斐あってか会場のお客さんにも今大会で1番ハマっていた。彼らの漫才は前から知っていたが、去年からの上達が著しく、よくぞこのレベルまで1年で仕上げてきた。凄いぜ味噌汁大臣。


【審査員採点】
巨人礼二塙志らく富澤松本上沼
93 96 98 93 91 94 97 662
97や98は少々やり過ぎ感はあるがそれだけ会場に合っていたということだろう。

 

 

 

和牛「ゾンビ」 94(94.6)
前半は笑いが少なく途中までこっちがドキドキした。あれ、大丈夫かなと思ったがさすがは和牛。そこからの盛り上がりはピカイチである。富澤も言っていたが和牛の見せたいように観てしまった。欲を言えば前半にもう少し笑いがないとこっちが心配になります。


【審査員採点】
巨人礼二塙志らく富澤松本上沼
92 94 94 93 92 93 98 656
文句なしでしょう。

 

 

 

 


志らくと上沼の点数を抜いても順位に差し支えはないようなので上位3組に異論を唱える人はいないだろう。というか優勝者に文句があっても上位3組に文句があることはあまりない。

 

 

 

 


ジャルジャルジャルジャルです」 90
まあしょうがない。ジャルジャルは1本目で燃え尽きた。その結果やりたいものをやったのだろう。ジャルジャルにとっては1本目が高評価でもう満足だったのだ。

 

和牛「オレオレ詐欺」 94(94.7)
構成が素晴らしい。女性に憑依した川西が水田の屁理屈に振り回されるという和牛らしい漫才。最後睨み合うだけで笑いがとれるのは凄い。完成度は高いのだがこれで優勝できないのが和牛なのだ……。

 

霜降り明星「小学校の思い出」 94(94.8)
スタイルや展開、ボケの方向性はほぼ1本目と同じだが、個人的には2本目の方が面白く感じた{なんとなく(なんとなく)}。このタイプのネタはボケを組み合わせれば良いので後から面白く加工しやすいという強みがある。恐らく何年かやってきてウケたボケを集めて披露したのだろう。

 

 

 

 


最後決戦のネタを見終わった私の感想としては(そういえば賞レースをリアルタイムで観たのは何年ぶりだろうか)、和牛と霜降りで競るだろうなとは思ったがやはり優勝は和牛だと思う。巨人と松本と上沼は和牛に入れ、志らく霜降りに入れるだろうなと感じた。礼二塙富澤の誰かが和牛に入れてくれれば優勝はあると思っていた。そして下の結果である。

【最終審査結果】
巨人礼二塙志らく富澤松本上沼
 霜 霜   霜 霜   和 和 和
 降 降   降 降   牛 牛 牛
 り り   り り
 明 明   明 明
 星 星   星 星

……おい!巨人!!裏切ったな!!
失礼。巨人が和牛に入れると思ったのは私の主観なので巨人に非はない。しかし巨人は和牛に入れると思ったんだけどな……霜降りの優勝は去年のとろサーモンよりは許せるが和牛また負けたか……1票差……巨人は和牛に入れると思ったんだけどな……(3回目)。もし志らくの枠が今年も大吉先生だったら和牛は優勝していただろう。

 

 

 

☆結論☆
来年和牛が優勝するのはかなり難しくなってくる。飽きられたりパターンが読まれたりすると勝つのは厳しくなるからだ。いっそのこともう一度デート漫才をやってみたらどうだろうか。水田のちょっとバカな男と川西の女性への憑依の組み合わせが一番しっくりくる気がする。和牛は3割20本90打点ぐらいを毎年やっているのだが去年は2割4分40本120打点の復活したベテランに、今年は3割2分190安打50盗塁の期待の若手に負けてMVPを取れなかったという感じ。いま分かりにくく説明してます。あと志らくはもう審査員やらなくていいです。

 

 

 

以上でM-1グランプリ2018についての考察は終わりです。最後に私のお気に入りの芸人を書いて終わります。

三拍子
タイムマシーン3号
学天即

                  以上

 

 

 

 


~今だから言えること~
賞レースをリアルタイムで観たのは結局このときだけだった。今でもトム・ブラウンのこのネタへの評価は変わらないが、トム・ブラウン自体への評価はかなり甘くなったと思う。あとキンプリ売れたね。

 

 

 

 

 

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